研究課題/領域番号 |
19K06777
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分44050:動物生理化学、生理学および行動学関連
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研究機関 | 公益財団法人高輝度光科学研究センター |
研究代表者 |
岩本 裕之 公益財団法人高輝度光科学研究センター, 散乱・イメージング推進室, 客員研究員 (60176568)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2020年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2019年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | X線回折 / シンクロトロン放射光 / 昆虫飛翔筋 |
研究開始時の研究の概要 |
近年、X線回折像から試料の実像を復元するアルゴリズムが非常に進歩しており、主に単粒子のイメージングに応用されている。これを従来型のX線回折実験、特に本研究が該当する「X線繊維回折」という分野に適用することを試みる。試みるアルゴリズムとしては繰り返し計算法(オーバーサンプリング法)とホログラム法である。主な試料として、昆虫飛翔筋を用いる。これらの方法を用い、最終的には動作している昆虫飛翔筋内で、運動タンパクであるミオシンが動く様子を可視化することを目標とする。
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研究実績の概要 |
2023年度は、回転平均化2次元のX線回折像から3次元構造を復元するプログラムを作成し、試験を行った。これは3次元回折像より情報が少ないため3次元構造の復元は上記の場合より困難で、プログラムに種々の改良を行いながら試験を行った。まず理想的な対称性を持つ昆虫飛翔筋サルコメアの3次元モデル構造を作り、それよりまず3次元X線回折像を計算した。これを回転平均化し、2次元のX線回折像を得た。これが実際の筋肉にX線を照射したときに得られる回折像である。この2次元回折像の振幅情報だけを用いて、上記の3次元モデル構造を復元することが計算の目標である。まず、出発構造として、アクチン繊維とミオシン繊維が6角格子状に並んだ構造を仮定する。このアクチン繊維とミオシン繊維は構造的特徴が何もないただの円柱である。この出発構造から2次元回折像を計算すれば、当然上記の正しい2次元回折像とはかけ離れたものになる。この出発構造から計算される2次元回折像の全ての反射について、正しい2次元回折像のものと振幅が一致するように出発構造を改変していく。この計算法にはHIOアルゴリズム(Hybrid Input Output)を採用した。プログラムの改良によって計算が収束するようになり、正しい昆虫飛翔筋サルコメアの構造と完全一致するところまでは行かないが、アクチン繊維、ミオシン繊維のらせん対称性がかなりよく復元された。 2022年までの主な成果は、円筒平均化パターソン関数の利用により、繊維状試料の回転平均化された回折像からその3次元構造を復元する方法を考案したことで、これは構造復元に一般的に用いられるHIO (上記参照)とは全く独立の原理に基づいている。この成果は国際結晶学連合発行のIUCrJ誌に掲載された。また米国フロリダ大の研究者との共同研究で、マルハナバチ飛翔筋のミオシン繊維の3次元構造を決定した。
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