研究課題/領域番号 |
19K06779
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分45010:遺伝学関連
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
青木 摂之 名古屋大学, 情報学研究科, 准教授 (30283469)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2021年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2020年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2019年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
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キーワード | 多段階リン酸リレー / 概日時計 / 低酸素応答 / ヒスチジンキナーゼ / PASドメイン / ヒメツリガネゴケ / 時計タンパク質 / 糖代謝 / シグナル伝達系 / 二分子蛍光補完法 / Per-Arnt-Sim(PAS)ドメイン / 二成分制御系 / ヒスチジン含有リン酸転移因子 / 進化 |
研究開始時の研究の概要 |
蘚類ヒメツリガネゴケのヒスチジンキナーゼ、PAS-Histidine Kinase1(PHK1)とそのパラログPHK2は酸素濃度依存的に茎葉体の発生を制御する。PHK1/2は、植物では起源の古い系統のみがホモログを持つため、植物進化解明の手掛りとして有望である。本研究ではPHK1/2によるシグナル伝達を次のように解明する:1)リン酸転移の相棒因子と、出力担当の下流因子群を同定し;2)植物ホルモン信号伝達系との相互作用を解明し;3)PHK1/2が酸素を受容する可能性を検証する。これらの成果を植物関連のゲノム/機能情報と対照させ、植物進化におけるPHK1/2と関連因子の役割に迫る。
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研究成果の概要 |
蘚類ヒメツリガネゴケの2つのPASヒスチジンキナーゼ(PHK1/2)と、それらの下流の多段階リン酸リレー系(MSP)を各種解析法により研究した。その結果、(i)PHK1/2は核内で中継因子HPt1/2と結合し、この分布は赤色光により細胞質にも広がる;(ii)HPt1/2は時計タンパク質PRR1~3と核内で結合する;(iii)PHK1/2の局在およびHPt1/2との結合は日内制御を受け、夜には核で、昼には核―細胞質で起きる;(iv)PHK1/2は概日時計や糖代謝に関係する遺伝子群の転写を制御する;等を明らかにした。こうして、PHK1/2に始まる新規MSP経路の概容を解明できた。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
PHK1とPHK2は低酸素環境化でコケ植物の生育を制御する因子です。この研究では、PHK1/PHK2に始まる細胞内の情報伝達の仕組みを研究しました。その結果、PHK1/PHK2は、中継因子を介して、体内時計の部品であるタンパク質の一部に情報を伝達し、さらに、体内時計の部品タンパク質をコードする遺伝子群や、また糖の代謝に関係する遺伝子群の転写レベルを制御することを明らかにしました。これにより、植物が低酸素環境や日内変動する環境に適応する仕組みの理解がすすみ、将来的には冠水条件や高地の低酸素条件でも効果的に生育する農作物の開発等につながると期待できます。
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