研究課題/領域番号 |
19K06797
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分45020:進化生物学関連
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研究機関 | 生理学研究所 |
研究代表者 |
齋藤 茂 生理学研究所, 生体機能調節研究領域, 助教 (50422069)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2021年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2020年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2019年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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キーワード | 環境適応 / 温度感覚 / 高温耐性 / 忌避行動 / 温度センサー / 温度感受性TRPチャネル / 両生類 / 幼生 / 温度適応 / 高温忌避 / 適応進化 / 温度応答行動 |
研究開始時の研究の概要 |
生息環境に応じた温度感覚の進化な変化とその分子メカニズムを解明するために、異なる温度環境に適応した両生類(カエル)を対象にした研究を行う。幼生(オタマジャクシ)が冷涼な環境で生育する種、温暖な環境で生育する種、また、高い温度でも生育できる種を用いた比較解析を行う。 生息地において温度の経時的な測定を行い、各種の幼生が自然環境下で経験する温度を調べる。また、実験室にて幼生の温度応答行動を観察し、温度耐性や温度選択性に種間で差が生じているかを検討する。次に、温度感覚のセンサー分子の機能特性を比較し、温度感覚の進化的変化が環境適応に果たした役割およびその分子メカニズムを解明することを目指す。
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研究成果の概要 |
日本在来の無尾両生類を対象にした比較解析を行い、繁殖期や産卵する水環境が異なる種の間で幼生が経験する温度が異なることを明らかにした。次に、高温に対する耐性および忌避行動を比較し、涼しい環境で生育する種に比べ、高温を経験する機会が多い種では幼生の高温耐性および忌避温度が高い傾向があることを示した。更に、感覚神経に発現する高温センサー分子の機能解析を行い、忌避温度が低い種ほど高温に対する活性が強いことを発見した。これらの結果から異なる温度環境に適応する進化過程において高温センサー分子の温度応答特性の変化が個体レベルの温度感覚やそれに関連する忌避行動の変化に寄与してきたことを明らかにした。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
身近に生息する日本の両生類種の間で繁殖期や生息環境の多様化に伴い高温耐性と忌避行動が協調的に変化してきたこと、更に、温度受容のセンサー分子が温度応答行動の進化に貢献してきたことを明らかにした点に学術的な意義がある。 類似した生態的、生理的な特性を持つ種間でも微細な生息環境の棲み分けにより高温に対する適応能が異なることから、地球温暖化によって受ける影響が異なると考えられる。一方で、同じ地域でも多様な環境が維持されていれば、温度条件の異なる生息地が形成されることを意味しており、地球温暖化対策として環境の多様性を維持することの重要性が改めて示された点に社会的な意義があると考えている。
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