研究課題
基盤研究(C)
本研究は,タナイス目甲殻類で見出された「雌雄ともに生涯を通じて分散能力がとても低い動物群による矮雄(メスの体サイズの半分以下しかない小さなオス)の獲得」という現象について,分類学的,系統学的,形態学的アプローチからその進化史を明らかにしようとするものです.本研究を通して,タナイス目のみならず動物全体における矮雄の獲得と進化に関する理解を深めることを目指しています.
本研究の目的は,タナイス目甲殻類で見出された「雌雄ともに生涯を通じて分散能力がとても低い動物群による矮雄(メスの体サイズの半分以下しかない小さなオス)の獲得」という現象について,分類学的,系統学的,形態学的アプローチからその進化史を理解することである.1880年代より存在が知られるタナイス類の矮雄であるが,過去の研究は主として形態情報に基づいた記載的内容であり,DNA配列情報を用いた研究はほとんど行われていない.2022年度は,主に以下のような成果を挙げた.(1)系統解析に用いる予定の種で未記載種であると判断されたもののうち,4種について計3報の記載論文を執筆し,査読付き英文誌に投稿した.うち2報については既に出版され,残る1報については現在査読中の段階にある.(2)これまでDNA配列情報が得られたことのない複数のグループについて,塩基配列情報を決定した.2022年度もミトコンドリアゲノムの全長配列決定を継続して行った.(3)タナイス類1種について形態観察および飼育実験を通して性表現に関するデータを得た.本成果については論文を執筆,査読付き英文誌に投稿し,既に出版された.(4)これまでタナイスで得られたことのないゲノムサイズに関する分析を行った.得られた成果について現在論文を執筆中である.加えて副次的な成果として(5)調査の過程で得られたタナイス以外の甲殻類の1種について,記載分類・分子系統解析を行った成果をまとめ,1報の論文を執筆した.これについては査読付き英文誌に投稿,既に掲載受理の報を受けた.
2: おおむね順調に進展している
形態学的解析に関する作業の進展が遅れているものの,種同定,分子系統解析は順調に進んでいる.よっておおむね順調に進展しているとした.
次年度は形態学的解析と分子系統解析を重点的に進める予定である.
すべて 2022 2021 2020 2019
すべて 雑誌論文 (13件) (うち査読あり 12件、 オープンアクセス 13件) 学会発表 (4件) (うち国際学会 1件、 招待講演 2件)
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