研究課題/領域番号 |
19K06805
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分45030:多様性生物学および分類学関連
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研究機関 | 大阪公立大学 (2022) 大阪市立大学 (2020-2021) 東京大学 (2019) |
研究代表者 |
石川 直子 大阪公立大学, 大学院理学研究科, 特任講師 (20771322)
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研究分担者 |
阪口 翔太 京都大学, 地球環境学堂, 助教 (50726809)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2023年度: 130千円 (直接経費: 100千円、間接経費: 30千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2020年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2019年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
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キーワード | 環境応答 / 可塑性 / オオバコ / 集団ゲノム解析 / 環境ストレス / 適応 / 葉 / 進化 / 葉サイズ / 遺伝子発現 / シカ |
研究開始時の研究の概要 |
オオバコは東アジアに広く分布する多年生草本であり、半日陰の登山道や裸地に生育している。このうち国内の屋久島や広島県(宮島)などの島嶼や関西地方の神社・仏閣では、花序が短く葉が小さい「矮化オオバコ」が見られる。先行研究により、矮化オオバコは地理的に離れた場所で平行進化したことが示されており、シカの生育密度が高い地域でシカの採食を回避できる小型個体が自然選択されたと考えられている。本研究では、シカの生育密度が高い地域で進化した矮化オオバコの小さな葉に注目し、葉サイズの進化とそれに伴う表現型の可塑性の変化に関わる分子機構の解明を目指す。
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研究実績の概要 |
環境応答性(可塑性)の制御には、多数の遺伝子ネットワークが連携して働き、特にネットワーク同士をつなぐ場所に位置する「ハブ遺伝子」の機能が重要とされる。しかし野生植物において、実際に「ハブ遺伝子」の機能変化が環境応答性の進化関わるか否かについての検証は進んでいない。 国内にはシカの生育密度が極端に高い場所があり(奈良公園・宮島・屋久島ほか)、それらの場所では様々な植物種における矮化形質の進化が見られる。オオバコ科オオバコでは、複数の生育地において共通に矮化現象が見られること、さらに矮化型と一般の場所に生育する普通型の間に、葉サイズ・葉柄の角度・開花期の制御に明瞭な遺伝的分化が見られることが分かっている。本研究では、オオバコの普通型と矮化型をもちいた集団ゲノム解析を行うことで、葉サイズおよび葉柄の角度・開花期の進化に関わる遺伝多型を特定し、それが遺伝子ネットワークの「ハブ遺伝子」の機能変化によるかを検討する。 令和4年度には、それまでに進めてきた下記3つの解析を引き続き行なったが、未だ候補遺伝子座の絞り込みに至っていない。1)普通型オオバコの全ゲノム配列決定。2)奈良公園で選択を受けた遺伝子座を同定するための、普通型および奈良公園の矮化型オオバコのPool-seq解析。3)葉のサイズおよび葉柄の角度・開花期の制御に関わる遺伝子座をそれぞれ同定するため、普通型と奈良公園の矮化型オオバコの人工交配より得られたF2集団を用いたQTL-seq解析。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
オオバコの普通型と矮化型に見られる葉サイズ・葉柄の角度・開花期の違いに関わる遺伝多型を特定するための解析を継続中であるが、未だ有力な候補遺伝子領域の絞り込みに至っていないため、やや遅れていると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
令和5年度は、これまでに引き続き、葉サイズおよび葉柄の角度・開花期の進化に関わる遺伝多型の特定するための解析を行う。まず普通型オオバコの全ゲノム配列のアセンブルの質を上げるため、2023年に別グループから発表されたオオバコ科オオバコ属Plantago ovata(2倍体)の核全ゲノム配列の情報を利用して”reference based assemble”を行う。これにより集団ゲノム解析(Pool-seq解析およびQTL-seq解析)において、より正確な結果が得られることが期待される。また集団ゲノム解析の結果を補足するために、RNA-seq解析により矮化型と普通型の遺伝子転写産物の発現レベルの相違を明らかにする。
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