研究課題/領域番号 |
19K06806
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分45030:多様性生物学および分類学関連
|
研究機関 | 東京海洋大学 |
研究代表者 |
神谷 充伸 東京海洋大学, 学術研究院, 教授 (00281139)
|
研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
|
研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
|
配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2021年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2020年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2019年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
|
キーワード | 世代交代 / 配偶体 / 胞子体 / 生存戦略 / 生活環 / 世代比 / 物理特性 / 生態特性 / 紅藻 / 乾燥耐性 / 同形世代交代 / 生理的分化 / 適応進化 / 生殖戦略 / 世代間競争 / 環境適応 |
研究開始時の研究の概要 |
単相あるいは複相の生物が生態的に有利な点については諸説あるが、系統的あるいは形態的にかけ離れた単相・複相生物を比較しても、核相の違いによる影響を正確に評価するのは困難である。この点において、単相世代と複相世代の形態が同じ同形世代交代型海藻類は、核相による適応度の違いを解明するのに好都合な研究材料である。本研究では、同形世代交代型のスギノリ科紅藻を対象に、単相世代と複相世代の割合(世代比)を季節や生育環境ごとに調査するとともに、藻体の物理・化学・生理特性や遺伝的な集団構造を世代間で比較する。得られた結果から、世代比の偏りをもたらす要因を特定し、各環境ごとに核相による適応度の違いを明らかにする。
|
研究成果の概要 |
同所的に生育する紅藻ツノマタ類2種の生態調査したところ、イボツノマタは配偶体が、ツノマタは胞子体が優占し続け、発生初期から消失するまで世代の偏りがほとんど変化しないこと、両種とも世代間で生長速度や成熟率に顕著な差はないことが明らかになった。このことから、胞子の供給によって個体群が維持されているのではなく、藻体が消失した後も基部が残存し、そこから藻体が再生することで個体群が維持されている可能性が示唆された。配偶体は胞子体よりも藻体の水分含有量や破断強度が高い傾向が見られるため、それがイボツノマタの配偶体が優占する要因の一つと考えられるが、ツノマタの胞子体が優占する要因は特定できなかった。
|
研究成果の学術的意義や社会的意義 |
海藻に広く見られる同形世代交代型生活環の意義や利点は十分に理解されいない。これまで同形世代型海藻の世代比を調査した研究はあったが、同所的に生育する近縁種を比較した研究はなく、本研究により2種で優占する世代が異なるという初めての知見が得られた。また、世代間で藻体の物理的特性に差があり、より適応的な世代は生育環境によって異なり、それが世代の偏りを生じる要因の一つであることが明らかになり、同形世代交代が幅広い環境に適応するのに有効な生活環であることが示唆された。また、大量に産生されている生殖細胞が個体群の維持にほとんど寄与していない可能性が示され、本藻の繁殖戦略を理解する上で重要な知見が得られた。
|