研究課題/領域番号 |
19K06808
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分45030:多様性生物学および分類学関連
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
甲斐 嘉晃 京都大学, フィールド科学教育研究センター, 准教授 (30379036)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
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配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2021年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2020年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2019年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | 種間交雑 / 生物多様性 / 交雑帯 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では,北太平洋のベーリング海・オホーツク海・日本海などの海域間で異なる分布を示す近縁種群を対象とし, (1)遺伝子・形態の分析から交雑帯の形成時期・形成範囲を多角的に捉える, (2)生態的特徴の異なる複数の分類群における交雑帯の形成範囲を比較する, (3)物理的環境の異なる複数の海域における交雑帯の形成時期と範囲を比較する, ことで海産魚類の交雑帯の形成・維持機構を明らかにすることを目的とする.多くの閉鎖的海域が存在する北太平洋に注目することで「複数の分類群」と「複数の海域」を比較可能で,交雑帯を形成・維持する要因を多角的に明らかにできることが期待される.
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研究成果の概要 |
種間交雑は,生物進化や生物多様性を理解する上で重要なプロセスである.しかし,明瞭な地理的障壁がない海域の魚類において,交雑が起こっている場所(交雑帯)がどのように形成され維持されているかについての知見は乏しい.本研究では,海産魚類の交雑の実態について研究を行った.その結果,過去に大規模な種間交雑が起こっているもの(タウエガジXナガヅカ),場所限定で交雑帯を形成しているもの(イカナゴ属魚類,コオリカジカ属魚類,トクビレ科魚類,ホテイウオ類など)の例が検出でき,後者の交雑帯は,日本海北部,津軽海峡付近,カムチャッカ半島付近にあり,これまでの研究で知られていた動物地理学的な境界と概ね一致していた.
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
海産魚類の種間交雑や交雑帯についての研究は,淡水魚類に比べるとはるかに少なく,どのような要因で交雑帯が形成され,種が混じり合わずに交雑帯の範囲が維持されているのかは不明なままであった.今回の研究成果は,海産魚類でも過去・現在を問わず種間交雑が起こっていること,その結果,遺伝子レベルの生物多様性に何らかの貢献をしていることが示された.また,交雑帯は生物地理学的な境界に形成・維持されていることが多いことから,そのような場所を保全していくことで生物多様性を維持できる可能性がある.
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