研究課題/領域番号 |
19K06828
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分45030:多様性生物学および分類学関連
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研究機関 | 金沢工業大学 |
研究代表者 |
坂本 香織 金沢工業大学, 基礎教育部, 准教授 (10367443)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2021年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2020年度: 260千円 (直接経費: 200千円、間接経費: 60千円)
2019年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
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キーワード | Nostoc commune / anhydrobiosis(無水生活様式) / 細胞外マトリクス / 水ストレスタンパク質 (WspA) / 抗酸化酵素・抗酸化タンパク質 / 抗酸化酵素 / 抗酸化タンパク質 / WspA / 陸棲ラン藻 / ストレス耐性 / 無水生活様式 |
研究開始時の研究の概要 |
陸棲シアノバクテリアNostoc commune(和名:イシクラゲ)は、様々な環境ストレスに対して高い耐性を示すとともに、乾燥して無代謝の状態となっても生命を維持し、吸水すると短時間のうちに生命活動を再開する。N. communeの示す無水生活様式やマルチストレス耐性において、細胞外マトリクスが細胞の生命維持に必要不可欠な役割を果たすと考えられる。本研究では、N. communeの細胞外マトリクスに着目し、細胞外マトリクスに存在する抗酸化タンパク質の解析および遺伝子破壊による機能解析を行うことにより、N. communeが示すAnhydrobiosisや環境ストレス適応の機構を明らかにする。
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研究実績の概要 |
陸棲シアノバクテリアNostoc communeの形質転換系を開発するため、N. communeの細胞外マトリクスに存在するタンパク質のうち、抗酸化機能を有する、若しくは抗酸化機能を有すると推定されるスーパーオキシドディスムターゼおよびdps1の遺伝子をシアノバクテリア発現ベクターに導入したコンストラクトを昨年度に作製した。一方、細胞外マトリクスに最も豊富に存在する水ストレスタンパク質WspAではその機能が未知であるため、遺伝子破壊コンストラクトを作製してN. commune細胞に導入し、失われた形質を調べるのが妥当だと考えられる。しかしながら、形質転換系の開発に用いるN. commune培養細胞KU002株では、細胞を液体培養すると細胞外マトリクスを形成しなくなるとの知見を共同研究者から得ていた。そこで、一昨年度に作成した抗WspA抗体を用いて、KU002株の培養条件におけるWspAの所在を検討した。KU002株をBG11寒天培地上で培養すると、野外コロニーの蓄積量に比べると非常に少ないが、WspAが検出された。対して、この株を同液体培地に植えて培養した増殖体では、WspAは全く検出されなかった。しかし、この増殖体の一部を再度寒天培地上に植えて培養した結果、WspAが検出された。このことから、KU002培養株においては固体培養でのみ細胞外マトリクスおよびWspAが生産されること、およびKU002株を用いてwspAの遺伝子破壊を行うと、形質転換体を固体培養してその表現型を解析することでWspAの機能が推定できる可能性が示唆された。 現在、WspA遺伝子をスペクチノマイシン/ストレプトマイシン耐性遺伝子で破壊させたコンストラクトを作製中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
形質転換に用いるN. commune KU002培養細胞が液体培養条件下では細胞外マトリクスを形成しなくなるとの知見を得て、それを諸培養条件での培養細胞におけるWspAタンパク質の有無により検証する必要が生じたため、今年度は計画調書に記載した実施項目(2)の N. commune形質転換系の開発にまでは至らなかった。 また、実施項目(3)遺伝子破壊によるN. communeの細胞外マトリクスタンパク質の機能解析において、wspA遺伝子破壊コンストラクトの完成に至っていない理由として、用いているスペクチノマイシン/ストレプトマイシン耐性遺伝子 (Ωカセット)の挿入後における選択条件を決定し切れていなかったことが挙げられる。既に、KU002株由来のwspA遺伝子2種類 (accessions AB518000, LC195125)を再クローン化して両遺伝子のDNA断片中のHincII部位に抗生物質耐性マーカーを挿入すれば遺伝子破壊コンストラクトが完成させられる段階まで漕ぎつけていること、またΩカセットDNAの供給元であるプラスミドpAM1044において培地中のストレプトマイシン濃度を検討したので、プラスミド中のwspA遺伝子にΩカセットDNAを再挿入して遺伝子破壊されたコンストラクトを再選択する。Ωカセットには十分な耐性を付与しないという報告もあるため、カナマイシン耐性など他の抗生物質耐性マーカーの使用も併せて検討する。
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今後の研究の推進方策 |
計画調書に記載した実施項目(2)を、本格的に始動させる。N. communeのwspA遺伝子破壊コンストラクトの作製を終え、抗酸化遺伝子の発現コンストラクトと併せてKU002株細胞に導入する。液体培養したN. commune KU002株細胞の超音波処理による単細胞化の条件、およびエレクトロポレーションによる細胞へのDNA導入における印加条件を決定し、N. communeにおける形質転換手法を確立させる。 併せて、計画調書に記載した実施項目(1)においては、抗WspA抗血清からIgGを精製してProtein Aカラムに結合させ、N. communeの藻体から抽出した細胞外マトリクスタンパク質をカラムにかけてアフィニティクロマトグラフィーを行うことにより、WspAおよびWspAに相互作用するタンパク質・成分を検出・同定する。また、大腸菌で生産させたDps1の解析を調書に記載した通りに進め、N. punctiformeにおけるホモログと性質や機能を比較・類推する。
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