研究課題/領域番号 |
19K06839
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分45040:生態学および環境学関連
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研究機関 | 香川大学 |
研究代表者 |
安井 行雄 香川大学, 農学部, 教授 (30325328)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2023年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2022年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2021年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2020年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2019年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | polyandry / evolution / bet-hedging / 雌の多回交尾の進化 / 生活史進化 / フタホシコオロギ / evolution of polyandry / 両賭け戦略 / 絶滅回避 / avoidance of extinction / 性淘汰 |
研究開始時の研究の概要 |
雌の多回交尾は配偶者選択の一形態である。配偶者選択を行う雌が直面している問題は配偶者の質に関する情報の不確かさである。目の前の雄との交尾は繁殖の失敗につながるかもしれない。結果的に繁殖の失敗をもたらす雄を「ハズレ雄」と呼ぶが、その原因として、射精の失敗、後天的な不妊症、一時的な精子不足、突然変異や有害遺伝子、不和合因子、環境変動などが考えられる。 もし雌が「ハズレ雄」1匹としか交尾しないなら家系の絶滅につながるが、複数の雄と交尾すれば危険分散(bet-hedging)を行うことができる。多回交尾は絶滅回避のための保険でありうるか?コオロギを用いた実験系でbet-hedging仮説を検証する。
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研究成果の概要 |
一般に雄は多くの雌と交尾するほど多くの子供を残せるが、雌は複数の雄と交尾しても(父親が入れ替わるだけで)子供を増やすことはできない。しかし多くの動物で雌は複数の雄と交尾する。この「雌の多回交尾」の進化は行動生態学・進化生態学の重要な研究課題である。 本研究は従来あまり有効でないとみなされてきた両賭け(bet-hedging)仮説を、新しい理論的視点から再検討するものである。5年間の研究期間で雌を1から4匹の雄と交尾させ、卵の孵化率、特に繁殖失敗(全ての卵が孵化しないこと)が起こる率を比較したところ、配偶者数が多いほど失敗が起こらない(世代間幾何平均適応度が高い)ことが分かった。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
bet-hedging理論とは、予測できない変動環境のなかでいかに絶滅せずに長期的存続を達成するかを扱うものである。有性生殖における不妊の発生も重大問題である。本研究は単に昆虫の交尾行動を研究しているのではない。混迷の時代に生きる我々人類の存続やSDGsなどの環境問題とも深く関わっている。
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