研究課題/領域番号 |
19K06840
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分45040:生態学および環境学関連
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
津田 みどり 九州大学, 農学研究院, 准教授 (20294910)
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研究分担者 |
高野 俊一郎 九州大学, 農学研究院, 助教 (90725045)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2019年度)
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配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2021年度: 260千円 (直接経費: 200千円、間接経費: 60千円)
2020年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
2019年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
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キーワード | 内部共生菌 / 生物群集 / 環境変化 / 可塑性 / 遺伝子発現 / 共生菌 / 適応と可塑性 / 温度 / 昆虫 |
研究開始時の研究の概要 |
生態学は、気候要因と生物要因の影響を統合理解し、農業や保全において予測し応用しようとする時代にある。特に大気環境変化の危惧から、気候の食物網を介した生物群集構成種への影響は注目されているが、適応進化と可塑的変化(気候順化)を分離し、気候要因と生物要因の同時的な影響を仮説検証した例はない。そこで本研究では、可塑性が体内外の生物群集の多様性維持に寄与するのかを検証する。内部共生菌を持つ植食性昆虫について①昇温時および植物ホストシフト時に起きる可塑的反応②共生菌多様性の宿主とその寄生蜂への作用③昇温後環境への適応の①②への影響を、体内外生物群集の多様性、生活史形質、遺伝子発現変動全容から解明する。
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研究実績の概要 |
変化する環境において、昆虫の適応進化と可塑的変化を分離し、可塑性または適応進化と体内外生物群集多様性の関係を、モデル群集を用いて解明することを目的とする。また、可塑性と適応進化の関係についても明らかにする。 初年度は、体内生物群集の宿主昆虫への効果および気温変化の昆虫への影響に焦点を絞って実験した。まず、内部共生菌を持つマメゾウムシ数種を採集し、それぞれの体内の共生菌多様性を抗生物質により操作した。次に、マメゾウムシ1種を地球温暖化を想定した高温に曝露し、適応進化の長期実験を開始し個体数をモニタリング中である。共生菌の多様性が高い場合でも、高温により平均個体数が減少する傾向が見られた。並行して、形態や生活史形質の可塑的変化と遺伝子発現変動を測定するためのサンプリングと短期実験を行い、卵サイズ、発育期間、生存率などの変化を抽出した。 高温への適応進化後の環境変化時とコントロール環境下へ曝露したマメゾウムシのRNA-seqにより網羅的な発現データを得た。現在進行中の発現変動解析では、共生菌遺伝子の発現変動も見られ、環境変化時の昆虫の可塑的変化に共生菌が関与する可能性が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
野外調査による共生菌を保有するマメゾウムシの探索を優先させたため、研究協力者との連携に計画外の遅れが生じたため、そして外注予定のRNA-seqの単価が上がったために全体的に室内実験、データ取得、データ解析に遅れが生じている。また、年度末には、一時帰国していた外国人研究協力者が新型コロナウイルスによって母国から日本に戻れなくなり、担当していた一部の実験を保留せざるを得なかった。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、体外生物群集(寄生蜂)の多様性および寄主植物変化(ホストシフト)時の昆虫の適応進化と可塑性の解明にも着手する。多様性のRNA-seqの最適な解析手法を研究協力者と確立し、発現変動解析を加速する。RNA-seqに当初の予定より費用がかかるため、別の研究費を獲得するよう努力する。
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