研究課題/領域番号 |
19K06842
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分45040:生態学および環境学関連
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研究機関 | 鹿児島大学 |
研究代表者 |
栗和田 隆 鹿児島大学, 法文教育学域教育学系, 准教授 (50616951)
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研究分担者 |
川西 基博 鹿児島大学, 法文教育学域教育学系, 准教授 (50551082)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2021年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2020年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2019年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 都市化 / 化学シグナル / 音響シグナル / 性選択 / 配偶行動 / 音響コミュニケーション / 配偶者選択 / 捕食回避 / 自切 / 求愛シグナル / コオロギ / 適応進化 / 騒音 / 人工光 / 直翅目 / 自然選択 / 都市 / 音響信号 |
研究開始時の研究の概要 |
人間活動による都市化によって土地改変が進むと、そこに生息する生物は否応なく影響を受ける。都市環境下で生息できる特徴はどんなものか、どこまでの改変に耐えられるのか、都市へどれだけ適応進化しているのかといったことを明らかにすることは、都市化の進行に対応した生物多様性の維持機構の解明・保護管理方法の策定などに欠かすことはできない。本研究では、都市化に付随する現象の中でも生物に大きな影響を与えると考えられる騒音と人工光に着目し、コオロギ類の音響コミュニケーションがどう影響され、またそれにどう対抗適応しているのかを野外調査と室内実験を組み合わせて解明する。
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研究実績の概要 |
昨年度までの研究で、都市に生息するマダラスズのオスは郊外に生息する個体とは周波数などの鳴き声の物理的構造が異なることと、都市のメスは騒音下でオスの声により素早く反応することがわかった。野外採集個体を実験室内で繁殖させ、共通環境で飼育したにも関わらず、都市と郊外間でこのような明確な違いが検出されたことは、これらの違いが環境要因ではなく遺伝的に決定されていることを示唆する。ただし、これらの変化が音響コミュニケーションにおいて適応的である証拠はなく、捕食回避や採餌行動などその他の行動における都市環境への適応進化の副産物である可能性もある。 種内コミュニケーションには単一のシグナルだけでなく、聴覚、視覚、嗅覚など複数の感覚器に受容されるマルチモーダルなシグナルが使用される。都市の騒音で聴覚に関わるシグナルが阻害されるなら、それ以外の感覚器へのシグナルがより発達する可能性がある。そこで、今年度は音響シグナルだけでなく、化学シグナルについても同様に都市と郊外の個体間で違いがあるのかを検証した。オスの化学シグナル(体表炭化水素)のメスへの誘引性には都市と郊外のオス間で明確な違いはなかった。しかし一方で、メスは自身と同じ生息地由来のオスの化学シグナルにより強く誘引されることがわかった。鳴き声に関しても解析をおこなったところ、やはりメスは同生息地由来のオスの声に素早く反応していた。これらの結果は生息地間の遺伝子流動を妨げる要因として興味深い発見である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
都市における騒音と夜間照明がコオロギの音響コミュニケーションに与える影響を解明するのが本研究の目的である。その目的はおおむね達成しており、音響シグナルだけでなく、化学シグナルに関しても着手し、いくつかの興味深い結果が得られた。そのため、概ね順調に進展していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
音響・化学両シグナルでも、メスは自身と同じ生息地のオスを好むことが示唆された。これは生息地外の個体との繁殖機会が減少することに繋がり、個体群間の遺伝子流動を妨げることになる。生息地外とはいえ、本研究では各生息地は2~5km程度しか離れていない。また、本種の長翅型は飛翔能力を備え、ある程度の長距離分散は可能であると考えられる。仮説として、各個体が自身の生息地に局所適応していることで、生息地外の個体と配偶することは子にとってその適応を崩すコストになっていることが考えられる。 そこで、まず実際に生息地外のオスを配偶相手として拒否しやすいのかどうかを行動観察で確認する。次に、同じ生息地あるいは別の生息地のオスと配偶させたときに、産卵数や孵化率、子の適応度を測定することで、生息地外の個体と配偶したときの生理的なコストを測定する。同時に、各生息地の環境要因を調べ、どのような局所適応が示唆されるのかを明らかにしたい。
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