研究課題/領域番号 |
19K06843
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分45040:生態学および環境学関連
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研究機関 | 神戸女学院大学 (2021-2022) 長野大学 (2019-2020) |
研究代表者 |
高橋 大輔 神戸女学院大学, 人間科学部, 教授 (90422922)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2021年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2020年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2019年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 性淘汰 / 雌の配偶者選択 / 配偶者選択の柔軟性 / 性的二形 / 保護エフォート |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、卵サイズに関連した雄の保護努力に応じて、雌の雄に対する好み(雌の配偶者選択性)の変わりやすさ(柔軟性)が決まり、その柔軟性が性的二形の進化に影響を及ぼすという仮説を検証するために、卵サイズが異なる3種のヨシノボリ属魚類で以下の3点を水槽において調べ、種間で比較する。1)配偶者選択コストの高い状態と低い状態で(コストの高低は水槽に入れる雌の数で操作)、雌の好みがどの程度異なるのかを調べる。2)雄にふ化まで卵保護させ、雄の形質とふ化までの卵の生残率との関係や雄の健康状態の変化を調べる。3)①で明らかになった雌の配偶者選択の柔軟性の程度と性的二形の程度との対応関係を調べる。
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研究実績の概要 |
本研究の目的は、雌の配偶者選択の柔軟性の決定要因の解明とその柔軟性が性的二形の進化に及ぼす影響を明らかにすることである。配偶者選択が雌の適応度上昇に重要な種ほど、選択性が変化しづらく、性淘汰圧が強まることで性的二形が顕著になるという仮説を検証するために、雄が卵保護し、卵サイズに応じて配偶者選択の重要性が異なると予想されるハゼ科ヨシノボリ属魚類の3種を対象とした水槽実験を行う。そして、卵サイズが大きく、雄の保護エフォートが高い種ほど、配偶者選択が雌の適応度上昇に重要なため、雌の配偶者選択性が変化せず、結果的に性的二形が顕著になるかを検討する。 2022年度は、昨年度に引き続き、雄の保護エフォートが高いカワヨシノボリを対象に雌の配偶者選択実験と雄の卵保護実験を行った。配偶者選択実験では、配偶者選択コストが低い競争雌が不在の水槽において、雌は求愛時間の長い雄を好んだ。一方、配偶者選択コストが高い競争雌が存在する水槽では、雌は求愛時間が長く、背鰭比の小さい雄を選好した。これらの結果は昨年度と同様であり、本実験における年変動の影響は無いと思われた。 また、雄の卵保護実験において、保護雄の形質とふ化までの保護卵の生残率との関連性をみたところ、雄の全長と卵生残率との間に負の関係性がみられた。他のハゼ科魚類において小さな雄ほどエネルギー消費量が小さく、卵保護能力が高い可能性が示唆されており、カワヨシノボリも同様の傾向を示すのかもしれない。ただし、前述のように、競争雌の在/不在に関わらず、雌は雄の体サイズへの選好性を示さなかった。雄の卵保護能力に関連する雄の形質と雌が好む雄の形質とが一致しない理由は不明である。2023年度も引き続き同様の実験を行い、より実験例数を増やしてさらに解析を進める予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2022年度は、カワヨシノボリの卵保護実験の手順を決定することに時間がかかり、予定したよりも実験例数を増やすことができなかった。したがって、現在までの進捗状況を「やや遅れている」とした。
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今後の研究の推進方策 |
2023年度は、引き続きカワヨシノボリの雄の卵保護実験を行い、実験例数を増やす予定である。また、2020年から続いた新型コロナウィルス感染の流行により、着手できていなかったシマヨシノボリ(雄の保護エフォートは中程度)の配偶者選択実験を実施する予定である。加えて、国際学会において成果報告を行うこととする(第10回東アジア生態学連合大会:7月に韓国で開催、Indo-Pacific Fish Conference 2023:11月にニュージーランドで開催)。
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