研究課題/領域番号 |
19K06844
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分45040:生態学および環境学関連
|
研究機関 | 日本大学 |
研究代表者 |
小糸 智子 日本大学, 生物資源科学部, 講師 (10583148)
|
研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
|
研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
|
配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2020年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2019年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
|
キーワード | 腸管内球晶 / マリアナイトエラゴカイ / 深海熱水噴出域 / 深海性多毛類 / 腸管上皮細胞内顆粒 / ウロコムシ類 / メタロチオネイン / 硫化水素無毒化 / タウリン関連化合物 / 金属元素 / 腸管内硫黄化合物 |
研究開始時の研究の概要 |
深海熱水噴出域には多量の無脊椎動物が生息しており、有毒な硫化水素や重金属に暴露されている。本研究で対象とする深海性多毛類の一種は、最も熱水に暴露される場所に生息している。近年、本種の腸管内に硫黄元素を含む球が多量に存在することを発見した。しかしながら、この硫黄化合物球が硫化水素の無毒化に貢献しているかは定かでない。そこで、本研究では硫黄化合物球が硫化水素無毒化に寄与しているか、組織観察、分子生物学的・生化学的手法を組み合わせて検証する。
|
研究成果の概要 |
深海熱水噴出域固有種であるマリアナイトエラゴカイが環境中から体内へ侵入する過剰な硫黄や金属を無毒化するため、腸管細胞内で球晶を形成するという仮説を検証した。本種と同所的に生息するウロコムシ類を比較対象として腸内細菌叢を調べたところ、両種は類似したがウロコムシ類では球晶を発見できなかった。また、本種に比べ含硫アミノ酸量が多い一方、金属元素量は少なかった。したがって、球晶の形成に腸内細菌は関与しないことが示唆され、硫黄や金属の代謝がウロコムシ類とは異なることを明らかにした。また、浅海性多毛類への曝露実験により、生息環境を問わず多毛類腸管に硫化物および金属の蓄積機構が存在する可能性が示唆された。
|
研究成果の学術的意義や社会的意義 |
近年、深海熱水鉱床は鉱物資源の開発対象として注目されている。開発に対する生物影響を明らかにするためには、まずそこに生息する生物の生態を解明し、希少性や特異性の有無を評価することが肝要である。とりわけ熱水噴出域は熱水に由来する化学物質に依存する特異な生態系が形成されている。本研究は、熱水噴出域固有生物を対象とし、その特異性について明らかにした。したがって本研究成果を社会に発信することは生物影響評価の一助になると考えられる。
|