研究課題/領域番号 |
19K06849
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分45040:生態学および環境学関連
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
長 泰行 千葉大学, 大学院園芸学研究院, 准教授 (90595571)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
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配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2021年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2020年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2019年度: 2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
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キーワード | 捕食者ー被食者間相互作用 / 血縁認識 / 捕食回避行動 / ギルド内捕食 / 母性効果 |
研究開始時の研究の概要 |
捕食者―被食者の関係において、被食者および捕食者における個体間の遺伝的な違いは生物群集に影響を及ぼし、生物多様性の維持に重要な役割を果たすと考えられる。本研究では、捕食者の遺伝的な違いが生物群集に及ぼす影響を明らかにする。実験に用いる捕食者キイカブリダニは、血縁認識能力をもち、母親が他種捕食者による卵の捕食を弱めることが分かっている。これらの性質に注目し、キイカブリダニ集団内の遺伝的な違いが小さい場合、大きい場合よりも被食者や他種捕食者といった生物群集と共存しやすくなるという仮説を検証する。
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研究成果の概要 |
捕食性のキイカブリダニは、他個体の卵よりも自分の卵を捕食者から守ることが明らかになった。また、姉妹であるキイカブリダニ雌成虫2個体を卵を捕食するミヤコカブリダニやミカンキイロアザミウマと一緒に繁殖させた場合、非姉妹2個体の場合よりも子孫の個体数が多かった。姉妹が卵のそばにいる時間は非姉妹2個体よりも長かったため、姉妹による卵の共同保護が示唆された。キイカブリダニを同じ母親から生まれた場合とそうでない場合について上記と同様に集団で維持した結果、予測に反して各動物種の個体数に違いはなかった。生物群集の共存には捕食者個体間の遺伝的的違いに加え、捕食を弱める複数の要因に注目する必要があると考えられた。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究は、キイカブリダニが他個体の卵よりも自分の卵を守ること、同じ餌を利用する捕食者(ギルド内捕食者)ミヤコカブリダニが存在する状況では姉妹で助け合って繁殖することを明らかにした。一般に同じ餌を利用し互いを捕食し合う生物種の共存は難しいことが先行研究で示されているが、本研究の結果は捕食を弱めることで両者の共存につながるメカニズムとして重要であると考えられる。一方、キイカブリダニは農業害虫のアザミウマ類の天敵としても注目されており、本研究の成果は、キイカブリダニ集団内の遺伝的な違いの低さが農業現場で高い増殖率を実現する上で有利に働く可能性を示すものである。
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