研究課題/領域番号 |
19K06860
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分45040:生態学および環境学関連
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研究機関 | 玉川大学 |
研究代表者 |
宮崎 智史 玉川大学, 農学部, 准教授 (20547781)
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研究分担者 |
林 良信 慶應義塾大学, 法学部(日吉), 講師 (70626803)
小川 浩太 九州大学, 比較社会文化研究院, 助教 (40733960)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2022年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2021年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2020年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2019年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
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キーワード | 蟄居型創設 / アリ / 育児 / 胸嚢 / トビイロケアリ / 女王 / カドフシアリ / 女王多型 / 繁殖戦略 / 創設女王 / コロニー創設 / 単独創設 / 給餌 / 胸部嚢 / 飛翔筋 / タスク / 育児戦略 / 飛翔筋分解 |
研究開始時の研究の概要 |
アリの多くはコロニーを創設する際、女王アリが自身の組織を何らかの形で餌資源へと変換することで、単独でも安全な育児を可能にする。この育児戦略の獲得はアリの系統進化において重要だったが、その進化過程については理解が進んでいない。 本研究ではまず、アリの派生系統で獲得された育児戦略の至近機構を明らかにするため、モデル材料を用いて餌資源を生産する組織を特定し、その餌生産を司る分子機構を解明する。さらに複数の祖先種と派生種に対しても同様の解析を行い、餌生産機構の進化過程を解明する。得られた成果は、アリを生態学的成功に導いた究極要因の理解に寄与する。
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研究成果の概要 |
アリ類の生態学的成功を可能にした一因に、蟄居型創設及び分巣というコロニー創設戦略の獲得が挙げられる。本研究ではトビイロケアリの蟄居型創設において餌物質の生産・貯蔵に伴う組織の変化を調べるとともに、蟄居型創設と分巣の両方を採用しうるカドフシアリを対象に、各戦略に関連して発現変動する遺伝子の特定を試みた。それらの結果、蟄居型女王は食道形態が胸嚢形成に特殊化していること、飛翔筋の形成とエネルギー代謝に関連する遺伝子の発現が上昇することが示された。分巣に関連する発現遺伝子は特定できなかったが、遺伝子発現情報についてのリソースを拡充できた。今後これらの活用により分巣に関連する遺伝子を特定する必要がある。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
巨大な分類群の一つであるアリ科のほとんどの種は蟄居型創設か分巣を採用する。それによって本来は死亡率が高いはずである生活史の最初のステージにおいて生存率を向上させ、多様なニッチへの進出を可能にしてきた。本研究ではそれらの戦略に注目し、蟄居型創設への形態的な特殊化やそれに関連する発現遺伝子群を明らかにすることができた。今後はこれらの情報を基盤として、アリがいかにして新たなコロニー創設様式を獲得したか、ひいてはいかにして生態学的成功を成し得たのかという謎を解き明かすことが期待される。
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