研究課題/領域番号 |
19K06861
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分45040:生態学および環境学関連
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研究機関 | 立命館大学 |
研究代表者 |
荒木 希和子 立命館大学, 生命科学部, 講師 (30580930)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
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配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2021年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2020年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2019年度: 2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
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キーワード | 地下茎 / クローナル植物 / クローン成長 / 遺伝子発現 / 生物防御応答 / 季節変化 / 土壌環境 / 生物防御 / 器官形成 / 茎頂分裂組織 |
研究開始時の研究の概要 |
植物は分化全能性を持ち,新たな器官の形成は周囲環境にも影響を受ける.同時に組織や細胞の働きは由来する幹細胞や器官に規定されている.しかし,器官や組織の応答の柔軟性や,機能変化を含む環境応答メカニズムは十分理解されていない. 本研究課題では植物体の側芽から分化して地下を伸長し,その後に地上茎を発達させる“地下茎”に着目し,地下茎成長に伴う遺伝子発現パターンの解析から (1) 周囲環境や成長変化により変化する遺伝子,(2) 変化に関わらず安定して発現する遺伝子,(3) 器官特異的に発現する遺伝子を特定し,植物個体の器官における環境応答の柔軟性と頑健性の評価から植物の環境応答メカニズムの解明を目指す.
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研究成果の概要 |
茎頂分裂組織に由来し,土壌中を水平方向に伸長する植物の地下茎について,その成長と遺伝子発現パターンに基づいた環境応答性の解明を目的として研究を実施した.野外環境下では,器官の成長や分化にともなって地下茎の遺伝子発現パターンは変化するが,地下部の生物防御応答性は維持されることが確認された.この応答性の程度は土壌組成や地下茎の挙動によって変化し,地下部である根とも異なることがわかった.したがって,地下茎の成長と応答性には地上と地下の両方の環境が影響し,季節変化や土壌環境に安定的な応答性を維持しつつ,土壌中の環境変化に柔軟に応答することが明らかとなった.
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究は地上と地下の環境を連続的に伸長する地下茎に着目して,器官特異的な環境応答を遺伝子発現パターンから調べた.地下茎の防御応答が維持され,土壌環境によりその程度が変化するという結果は,土壌中の植物と環境の相互作用に対する知見であることに加え,防御応答が生存にとって必須であることを示している.地下茎は次世代の株を形成することから,この応答性は適応度を高める上でも重要な機構であると考えられ,野生植物の環境適応メカニズムの解明につながるものである.地下部器官でクローン成長を行う種は外来植物や農作物にも広く見られ,増殖抑制や生産性向上などの技術にもつなげられることが期待される.
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