研究課題/領域番号 |
19K06894
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分46010:神経科学一般関連
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研究機関 | 国立研究開発法人理化学研究所 |
研究代表者 |
宮坂 信彦 国立研究開発法人理化学研究所, 脳神経科学研究センター, 副チームリーダー (70332335)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2020年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2019年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | 匂い / 神経回路 / 脳 / 行動 / ゼブラフィッシュ / 学習 / 記憶 / モチベーション / 連合学習 / 視床 |
研究開始時の研究の概要 |
嗅覚系は外界の多種多様な匂い分子(化学物質)を受容し、対象物の認知、情動の誘起、内分泌系の変化、さらには記憶の形成や想起を介して「目的行動への意欲」を生み出す神経システムである。これらの行動には、動物種特異的にプログラムされた「生得的な行動」と、過去の経験に依存する「学習依存的行動」が含まれる。本研究では熱帯魚ゼブラフィッシュを用いて、匂い学習の前後で活動するニューロン集団の相互関係、生得的行動と学習依存的行動に関わる神経回路素子のクロストーク、意欲行動とリンクして活性化する視床亜核の構造と機能を解析し、匂いの入力から行動意欲を生み出す神経回路メカニズムに迫る。
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研究成果の概要 |
ゼブラフィッシュにおける匂いとエサ報酬の連合学習系を用いて、目的行動への意欲を生み出す神経回路メカニズムを解析した。匂いの呈示後にエサ報酬を与えるトレーニングを行うと、魚は誘引行動を示すようになった。連合学習群の腹内側視床では、活性化されたニューロンが対照群より多く観察された。また、魚を新奇環境に暴露すると、連合学習群と同様に腹内側視床の活性化が観察された。さらに、両実験群で活性化する腹内側視床ニューロンは、同一の神経ペプチドおよび転写因子を発現する興奮性ニューロンの集団であった。このことから、腹内側視床の活性化と、探索や報酬獲得など意欲行動との関連が示唆された。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
すべての動物の生存や種の維持にとって欠くことのできない摂食、危険回避、繁殖などの行動には、根源的な意志の力、すなわち意欲が重要な役割を果たしている。本研究では、ゼブラフィッシュの「匂い-エサ報酬連合学習系」を用いて、意欲行動にリンクして活性化する腹内側視床を同定した。魚類の腹内側視床は、これまでほとんど解析されていない未知の脳部位であるが、本研究によって遺伝子発現プロフィールの一端が明らかとなった。本研究成果は、脊椎動物の意欲を生み出す基本原理の解明に貢献することが期待される。
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