研究課題/領域番号 |
19K06908
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分46010:神経科学一般関連
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
宋 文杰 熊本大学, 大学院生命科学研究部(医), 教授 (90216573)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2020年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2019年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 聴覚 / 内側膝状体 / 聴覚皮質 / 神経科学 |
研究開始時の研究の概要 |
大脳皮質聴覚野における情報処理は聴覚視床である内側膝状体からの入力に依存する。内側膝状体は腹側核、背側核と内側核の三つの亜核から構成されているが、各亜核の役割分担は明らかになっていない。この問題の解決には、亜核特異的な操作による活性化や抑制は不可欠と考えられるが、これに関連して、申請者らは最近、内側核に選択的に遺伝子を導入することに成功した。本研究では、この技術を利用し、光遺伝学と電気生理学的な方法を組合せて、内側核の選択的な活性化などにより、聴覚皮質内の内側核標的領野・細胞を同定し、その領野の聴覚応答への寄与を解明する。
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研究成果の概要 |
聴覚視床である内側膝状体は、腹側核、内側核と背側核を含むとされているが、各亜核の同定や機能は十分解明されていない。本研究では、極めて低いレベルでありながら、内側核に特異的に伝達物質輸送体が発現していることを発見し、それを利用して内側核に選択的に遺伝子を発現させ、ニューロンの可視化に成功した。更なる探索により、その細胞体の分布と同様な分布や相補的な分布を示す分子マーカーも同定し、内側核を分子的に初めて定義できた。一方、内側核ニューロンの軸索終末が、光イメージング法で同定した聴覚皮質のすべての領野に分布していることを明らかにした。内側核が皮質における聴覚並列処理に影響を与えると結論付けた。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
内側膝状体は聴覚に重要な役割を果たしていると考えられているが、その機能の解明は、亜核の同定から始めなければならない。本研究の成果によって、三つの亜核の一つである内側核を分子的に同定できることが示されたため、内側膝状体研究のマイルドストン的な発見と言える。分子マーカーの同定により、内側核が全ての聴覚皮質領野に投射し、それらの出力を直接制御する回路も明らかとなった。これらの研究成果は内側核機能の完全解明に基礎と手段を提供するものである。聴覚はヒトのコミュニケーションや社会生活に不可欠な感覚機能で、本研究の成果は聴覚の理解、しいては聴覚障害の治療に繋がるため、その社会的意義も明らかである。
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