研究課題/領域番号 |
19K06928
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分46020:神経形態学関連
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研究機関 | 奈良県立医科大学 |
研究代表者 |
辰巳 晃子 奈良県立医科大学, 医学部, 准教授 (90208033)
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研究分担者 |
石西 綾美 奈良県立医科大学, 医学部, 助教 (10836018)
田中 達英 奈良県立医科大学, 医学部, 講師 (80567032)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2021年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2020年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2019年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
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キーワード | アストロサイト / Olig2 / アミノ酸トランスポーター / シングルセルRNAシーケンス解析 / レーザーマイクロダイセクション / 抑制性神経回路 / 抑制性シナプス / laser microdissection / トランスポーター / ASC-1 / シングルセルRNA-seq / 三つ組シナプス / GAT-3 / 抑制性神経伝達 |
研究開始時の研究の概要 |
近年、中枢神経系のアストロサイトが神経細胞と共に三つ組みシナプスを構成して神経伝達に積極的に関わるという概念が定着している。しかし多様な神経伝達物質を持つ神経回路にどのように対応するのか、そのメカニズムについては未だ不明な点が多い。例えば神経伝達には興奮性と抑制性があり当然ながら三つ組みシナプスの構成も異なるはずであるが、現在までにそれらの伝達に特化したアストロサイトの存在は証明されていない。本研究では抑制性神経回路の修飾や或いは制御機能を持つアストロサイトに焦点を絞りその性質の解明を目指す。そして興奮性・抑制性神経伝達の不均衡を伴う病的状態の理解と治療戦略に新たな局面を開くことを目的とする。
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研究成果の概要 |
我々は脳内に特徴的な局在を示すアストロサイトの亜集団(以下Olig2-AS)を見出し報告している。このアストロサイト特異的な機能を明らかにするために、scRNA-seqデータベースを用いて解析したところ、Olig2-ASはトランスポーター関連遺伝子に富むアストロサイトクラスターに属することが解った。slc7a10は、このクラスターにおける代表的な中性アミノ酸トランスポーター遺伝子の一つである。そこでin vivo実験でその発現を検証したところ、in silico解析を裏付ける結果を得た。以上のことから、slc7a10は成体脳のOlig2-ASにおいて特異的な機能を発揮していることが示唆された。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
このアストロサイト(Olig2-AS)は世界的にも研究がなされていないサブタイプであり、独自性は極めて高い。本研究で、このアストロサイトが特定の脳領域に局在して特定のトランスポーターを高発現する集団であることが明らかになった。この事はOlig2-ASがシナプス伝達の修飾或いは制御を介して、特定の神経回路の神経伝達機能の一翼を担っている可能性を示唆している。このアストロサイトは大脳基底核回路の神経核に局在する傾向にある事から、大脳基底核疾患(パーキンソン病に代表される)など大脳基底核疾患の理解と治療戦略に新たな局面を切り開く可能性があり、その意味で学術的・社会的意義は高い。
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