研究課題/領域番号 |
19K06932
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分46020:神経形態学関連
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研究機関 | 川崎医科大学 |
研究代表者 |
樋田 一徳 川崎医科大学, 医学部, 教授 (40253405)
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研究分担者 |
清蔭 恵美 川崎医療福祉大学, 医療技術学部, 教授 (30543392)
堀江 沙和 川崎医科大学, 医学部, 講師 (40609666)
佐藤 慧太 川崎医科大学, 医学部, 助教 (80812578)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2021年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2020年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2019年度: 2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
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キーワード | 嗅球 / 遠心性調節 / ノルアドレナリン / ヒスタミン / 神経回路 / シナプス / エストラジオール / 遠心性投射 / ヒスタミンニューロン / THニューロン / セロトニン / アセチルコリン / 受容体 / 線維分布 / 多様性 / 単一ニューロン標識 |
研究開始時の研究の概要 |
申請者がこれまで確立した電顕連続切片三次元再構築法、単一ニューロン標識、電子線トモグラフィー法、超高圧電子顕微鏡法を組み合わせた統合解析を駆使し、高次脳領域からの嗅球神経回路の調節機構の解明を目的とする。本研究の根幹をなす方法は、長年の経験で確立し、労苦を要するが、他の方法では得られない、現時点で最も確実なデータを得られる独自の統合的形態解析であり、国内外で実行する者はなく、遂行する科学的意義は深い。更に体内リズム、意識、記憶、注意、情動など多様な脳機能と嗅覚との関係の理解にとどまらず、嗅覚系から見たシナプス神経回路レベルの脳機能発現の構造的基盤の確立を目指すのが、本研究の概要である。
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研究成果の概要 |
本研究は、報告者らが従来研究を行ってきている嗅球神経回路の調節機構について、特に高次脳中枢からの遠心性調節に関する一連の解析である。これまでセロトニン(5HT)、アセチルコリン(Ach)のニューロンの遠心性投射について解析を行ってきたが、本研究では更に、ノルアドレナリン(NA)およびヒスタミン(His)ニューロンに焦点を絞り解析を進めた。その結果、NAニューロンは嗅球全層に突起を分布投射し、その投射はAchニューロンと相補的であることがわかり、その結果を論文発表した(Horie et al 2020)。現在Hisニューロンの解析を進め、他のニューロンに比べてより表層に及ぶ分布様式の所見を得た。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
報告者らの従来の一連の解析で明らかにした嗅球神経回路に対する調節機構で、従来知られる匂い刺激の求心性調節以外に、他の高次脳中枢からの嗅球への遠心性調節の存在が明らかになった。その投射は多様性があり、嗅球内でも層別に分布様式が異なることは、嗅覚情報処理機構の神経回路が異なる嗅球各層において異なる脳中枢からの影響を受けることを示す。嗅球は脳神経回路の基本的構造モデルとして考えられていることから、他の脳領域の研究に寄与することが大きい。 新型コロナ感染症後遺症の嗅覚脱出の遷延は、匂い入力の低下が遠心性入力変化をもたらすとも考えられ、今日的な焦眉の社会的意義のある課題として更なる解析の必要性がある。
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