研究課題
基盤研究(C)
神経細胞は軸索、樹状突起という長い突起を介して、回路を形成する。しかし、突起先端への膜成分の供給制御についての研究は少ない。申請者らはCdk5がエンドソームに結合する膜キナーゼあり、エンドソーム輸送を制御すること、そして、LMTK1という新規キナーゼを介して突起伸長やスパイン形成に関わることを明らかにした。LMTK1は認知症の危険因子であり、その変異は発達障害の原因にもなっていた。本研究では、LMTK1についての未解決な課題であるキナーゼ活性、アイソフォーム特異的役割、ノックアウトマウスを用いた行動解析や電気生理などを調べ、その生理的役割や認知症や発達障害との関連を分子レベルで明らかにする。
Lemur kinase 1 (LMTK1)は哺乳動物脳で機能するプロテインキナーゼである。LMTK1は神経細胞内でRab11依存的な小胞輸送の制御を介して軸索伸長やスパイン形成などに関与する。本研究では、LMTK1の脳内における役割をノックアウトマウスを用いて、更に神経変性疾患との関わりについて培養細胞を用いて調べた。その結果、LMTK1は記憶の形成には関与していなかったが、アミロイド前駆体タンパク質(APP)の切断酵素であるBACE1の細胞内局在を制御してアルツハイマー病アミロイドカスケードの引き金に関わっている可能性が示された。
神経細胞内における小胞輸送は軸索伸長やスパイン形成を介して、神経機能に影響を及ぼしているが詳細な分子機構は不明である。リサイクリングエンドソームの新規制御因子であるLMTK1の脳機能における生理的な役割と神経変性疾患にかかわる病理的な役割を探求した結果、LMTK1の欠失は記憶形成には影響を与えないが自閉症様の症状を示すこと、LMTK1活性はBACE1の細胞内輸送制御を介してアルツハイマー病発症に関わる可能性などが示唆された。LMTK1の変異は発達障害にも関わる可能性が示唆されており、今後その役割についてより詳細な研究が必要である。
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