研究課題/領域番号 |
19K06950
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分46030:神経機能学関連
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
高田 陽子 筑波大学, 国際統合睡眠医科学研究機構, 研究員 (60435740)
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研究分担者 |
大石 陽 筑波大学, 国際統合睡眠医科学研究機構, 助教 (70554004)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
中途終了 (2021年度)
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配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2021年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2020年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2019年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | 睡眠覚醒制御 / 腹側内側中脳橋 |
研究開始時の研究の概要 |
研究代表者らはごく最近、モチベーションや報酬を調節する「報酬系」神経システムと睡眠覚醒制御の関係を解析する過程で、腹側内側中脳橋の抑制性ニューロンが睡眠調節に極めて重要な役割を果たすことを見出した。しかし、その腹側内側中脳橋がどのように睡眠を制御するのかは明らかでない。本研究では、腹側内側中脳橋の抑制性ニューロンの睡眠調節における機能およびその報酬系との関連性を明らかにする。
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研究実績の概要 |
現在広く受け入れられている睡眠制御モデル「2プロセスモデル」(Borbely, 1982)によると、睡眠のタイミングや強さは主に睡眠負債(睡眠の恒常性)および日内リズムによって制御される。しかし、例えば夜勤等の意図的な覚醒維持、単調な自動車運転や退屈な講義などから生じる眠気のように、情動・認知的な因子も睡眠覚醒の大きな制御要因であることは経験的にも明らかである。このような情動的要因による睡眠制御の脳内メカニズムはあきらかでない。 研究代表者らはごく最近、モチベーション・報酬を調節する「報酬系」神経システムと睡眠覚醒制御の関係を解析する過程で、腹側内側中脳橋(VMP)の抑制性ニューロン(GABA神経)が睡眠調節に極めて重要な役割を果たすことを見出した。VMP GABA神経の欠損は重篤な不眠状態を生み出し、一過的に抑制させると睡眠量が減少する。反対にこの神経を活性化させると極めて強力にノンレム睡眠が誘導される。本研究では、VMP GABA神経の睡眠調節における機能およびその報酬系との関連性との解明を目的とした。具体的には、VMP GABA神経を欠損した場合の覚醒増加メカニズムの同定をおこなった。その結果、報酬系において重要な役割を果たすドーパミンD2受容体の欠損マウスでは、VMP GABA神経抑制欠損による覚醒増加が大きく減弱されることが明らかになった。特に明期では覚醒増加が全く起こらなかったため、D2受容体に依存して覚醒が増加することが判明した。一方で暗期ではD2受容体欠損マウスにおいても大きく覚醒が増加したため、D2受容体非依存的なメカニズムの可能性が示唆された。また、VMP GABA神経抑制欠損マウスでは断眠後の睡眠リバウンドが起こらないが、この傾向はD2受容体欠損マウスにおいても同様であり、睡眠リバウンドの消失はD2受容体非依存的であると示された。以上により、VMP GABA神経による睡眠覚醒調節がドーパミンD2受容体に大きく依存することを明らかにした。
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