研究課題/領域番号 |
19K06959
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分46030:神経機能学関連
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研究機関 | 奥羽大学 |
研究代表者 |
関 健二郎 奥羽大学, 薬学部, 教授 (50342803)
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研究分担者 |
松木 亨 愛知県医療療育総合センター発達障害研究所, 細胞病態研究部, 主任研究員 (90332329)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2021年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2020年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2019年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 過誤の恐怖記憶形成 / トラウマ記憶の汎化 / PTSD / コルチコイド受容体 / コルチコトロピン放出ホルモン / False 記憶 / 心的外傷後ストレス障害(PTSD) / 視床下部 / グルココルチコイド受容体 / 記憶固定 / 積極的コーピング / 精神的ストレス / コーピング方略 / レジリエンス / 抑うつ症状 |
研究開始時の研究の概要 |
PTSDでは、関連性の低い状況でもトラウマ記憶の汎化が生じ、恐怖・戦慄・回避の連続による精神的苦痛を受け、約半数がうつ病を併発する。トラウマ汎化によるPTSD発症の阻止には、レジリエンス概念の資質的要因である積極的copingの役割が注目されている。申請者は、BNSTのコルチコトロピン放出因子2型受容体とアドレナリンβ受容体が恐怖刺激に対するcoping方略を決定し、BNSTのβ受容体がトラウマ汎化によるうつ病併発に関与する可能性を見出している。本研究は、トラウマ汎化を阻止するcoping方略の特定と積極的copingを遺伝学的・薬理学的に制御してPTSDとうつ病併発機序を解明を目指す。
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研究成果の概要 |
本研究で、箱Aで電気ショックした3時間後に異なる新規箱Bを体験したマウスでは24時間後の箱Bでのフリージング時間が、3時間後に箱Bを体験していないマウスの24時間後のフリージング時間よりも長くなった。視床下部CRFをノックダウンしたAAV-KD-AABマウスでは24時間後の箱Bにおけるフリージング時間が顕著に長くなったが、視床下部CRFを過剰発現したAAV-CRF-AABマウスでは3時間後の箱Bでのフリージング時間が既に長くなかった。以上から、視床下部CRF発現がトラウマ記憶の汎化を制御している可能性が示唆された。また、3時間後の箱B内の中央嗜好性が24時間後の過誤の恐怖記憶の増強と相関した。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
心的外傷後ストレス障害(PTSD)では、関連性の低い状況でもトラウマ記憶が想起され(汎化)、恐怖・回避の連続による精神的苦痛を受ける。実際に恐怖体験した状況や場所と来なる環境で恐怖の再体験を繰り返すのが特徴である。一方、過誤の恐怖記憶の形成は、恐怖体験した場所と異なる環境で恐怖反応を示すという特徴がある。しかし、トラウマ記憶の汎化は恐怖体験から長期間を要するのに対し、過誤の恐怖記憶は3時間で形成されるという決定的な違いがあり、両者の関係はいまだ不明である。今後は過誤の恐怖記憶形成機序とトラウマ記憶の汎化の脳内機序を比較することで恐怖体験後のPTSD発症予防に繋がることが期待される。
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