研究課題/領域番号 |
19K06962
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分46030:神経機能学関連
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研究機関 | 関東学院大学 |
研究代表者 |
佐藤 容子 関東学院大学, 栄養学部, 教授 (70251501)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2021年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2020年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2019年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
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キーワード | ニコチン / 胎生期 / 脱分極波 / 神経系 / 発生 / 光学イメージング / 膜電位感受性色素 / 光学計測 |
研究開始時の研究の概要 |
妊娠中の喫煙・受動喫煙は、胎児の脳に様々な悪影響を及ぼすことが知られている。申請者は、中枢神経系の機能発生に重要な役割を果たすと考えられる広範囲伝播性脱分極波を発見し、解析を行ってきた。本研究は、ニコチンへの暴露による胎児脳発達への影響という観点から、脱分極波を介した神経系の発生制御機構と、それに関連したニコチン型アセチルコリン受容体の役割について解析を行い、喫煙が及ぼす胎生期の神経系発生への影響について、新たな病態発生メカニズムを提唱することを目的とする。
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研究成果の概要 |
発生初期の中枢神経系において、広範に伝播する脱分極波と呼ばれる自発活動が、神経回路網形成の一時期に発現することが知られている。鶏胚、マウス胚、ラット胚の摘出中枢神経系標本を用いた解析で、脱分極波はニコチン性アセチルコリン受容体に依存し、ニコチン投与によって抑制されることがわかった。In ovo鶏胚でニコチンを慢性投与し、迷走神経感覚核におけるシナプス回路網形成への影響について解析したところ、二次感覚核である傍腕核におけるシナプス後電位が著明に減弱した。このことから、胎生期におけるニコチンへの暴露は、脱分極波の抑制を介して、脳幹内シナプス回路網の機能的発生を阻害することが明らかとなった。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
妊娠中の喫煙は、胎児・新生児期における様々な脳機能障害や致死的疾患に関与していることが知られている。本研究の成果は、妊娠中の喫煙がおよぼす神経系への影響について、広範囲伝播脱分極波の阻害による神経回路網形成の異常という新たな病態メカニズムの概念を導入した。喫煙の影響は、本人の禁煙だけで解決できる問題ではなく、受動喫煙による障害をいかにして防ぎ、被った影響をいかにして是正するかが大きな社会問題となっている。本研究の成果は、臨床病態生理学のみならず、社会学的にも大きな影響をもたらすことが期待される。
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