研究課題/領域番号 |
19K07015
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分47020:薬系分析および物理化学関連
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研究機関 | 城西大学 |
研究代表者 |
江川 祐哉 城西大学, 薬学部, 教授 (90400267)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2020年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2019年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | ボロン酸 / 細胞製剤 / 過酸化水素 / 徐放性 / 刺激応答性 / 血糖値 / 糖尿病 / インスリン / ドラッグデリバリーシステム / 血糖値応答性 / 過酸化水素応答性 / フェニルボロン酸 / 徐放性製剤 / シアル酸 / 細胞表面接着 / 赤血球凝集 / 動的共有結合 / DDS / インテリジェント / 細胞 |
研究開始時の研究の概要 |
ボロン酸というホウ素を含む化合物は,2つのヒドロキシ基と結合する特徴がある。この結合は可逆的で,結合の解離と再結合を繰り返す。そのため,動的共有結合と呼ばれている。ボロン酸を修飾した薬物を生体に投与すると,ヒドロキシ基が多数存在する細胞表面へ結合すると考えられる。この結合は動的であるため,解離-再結合を繰り返しながら,徐々にボロン酸修飾薬物が放出される持続性薬剤になると考えられる。また,ボロン酸と細胞表面との結合を,刺激により切断する刺激応答性製剤への展開も目指す。
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研究成果の概要 |
本研究課題では、細胞への動的共有結合を利用した、新たなDDSの概念の構築を試みた。細胞への動的共有結合を可能にするのはボロン酸である。ボロン酸は糖類と結合する特性を持ち、細胞表面糖鎖(シアル酸)とも強く結合する。ボロン酸を化学修飾した薬物を投与すると、赤血球表面糖鎖などに結合する。この結合は動的共有結合であるため、解離-再結合を繰り返しながら徐々に薬物が血中に放出されることで、薬効が持続化すると考えられる。本研究課題では、ボロン酸修飾インスリンの徐放化製剤、また、ボロン酸と細胞表面糖鎖との結合を切断することを特徴とする血糖値応答性DDSを提案することができた。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究成果の意義は、細胞表面を薬物保持担体としてみなす「細胞製剤学」という新たなDDSの概念を提唱できた点にある。ボロン酸が細胞表面糖鎖に結合する特性を利用し、ボロン酸修飾インスリンを細胞表面に保持させることで、血糖降下作用が持続する例を示すことができた。また、グルコースオキシダーゼを併用することで血糖値応答性インスリン製剤へ展開する例も示せた。これらの研究成果は注射液を投与するだけのシンプルな方法で実施できたが、これは細胞を製剤の構成要素として捉えるユニークな「細胞製剤学」という概念が可能にしている。シンプルであるため制約が少なく、実現性の高い刺激応答性DDS研究が可能になると期待される。
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