研究課題
基盤研究(C)
質量分析を用いたタンパク質リン酸化の網羅的解析において、どのアミノ酸残基がどの程度リン酸化されているのか測定することが重要である。そこで、リン酸化部位網羅的な定量解析を行うため、新たなデータ解析手法を開発する。研究代表者らは、リン酸化ペプチドの質量分析データ(MS/MS スペクトル)をシミュレ ートすることにより、高精度にリン酸化部位を決定することに成功している。そこで本研究では、このMS/MSシミュレーションを、網羅的かつ信頼性の高い定量結果を与えると考えられているSWATH測定に応用することにより、網羅的かつ高精度にリン酸化を定量できる手法を開発し、その有効性を検証する。
以前開発したリン酸化ペプチドMS/MSスペクトルのシミュレーション用ソフトウェアSimPhosphoを応用し、データ非依存的質量分析法であるSWATH測定によるリン酸化ペプチドの定量解析法を開発した。SimPhosphoをTripleTOF質量分析計で取得したMS/MSスペクトルに対して用いた後、データフォーマットを調整することにより、SkylineソフトウェアによるSWATH解析でリン酸化ペプチドの定量が可能であることを確認した。さらにリン酸化部位を特異的かつ高感度に同定した上で定量解析が行えるよう、シミュレーション条件の最適化を行った。
現在、生体タンパク質の網羅的解析(プロテオミクス)を行うことにより一度に数万ものリン酸化が観察でき、それら膨大な報告は、PhosphoSitePlusなどのデータベースに次々と蓄積されている。本研究では、網羅的定量解析におけるリン酸化部位の決定を高精度化したことにより、より信頼度の高いリン酸化の定量的な観察を可能にすると期待できる。リン酸化は細胞内情報伝達の中心を担っており、様々な生体機能の制御に関わっていることから、それらリン酸化の網羅的解析は今後の生命科学および医学・薬学のさらなる発展に貢献すると考えられる。
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Journal of Biological Chemistry
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名城大学総合研究所紀要
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