研究課題/領域番号 |
19K07024
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分47020:薬系分析および物理化学関連
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研究機関 | 国立研究開発法人産業技術総合研究所 |
研究代表者 |
三重 安弘 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 生命工学領域, 研究グループ長 (00415746)
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研究分担者 |
辻野 博文 大阪大学, 総合博物館, 准教授 (10707144)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2020年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2019年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | 金属蛋白質 / インドールアミン2,3-ジオキシゲナーゼ / ヘム蛋白質 / ナノ構造電極 / 金ナノ粒子 / ニューログロビン / トリプトファン代謝 / 電気化学アッセイ / 電子移動反応 / 酸化還元酵素 / サイトグロビン / ジオキシゲナーゼ / ナノ孔電極 / 酸化還元制御 / 免疫抑制阻害 |
研究開始時の研究の概要 |
がん等の疾病と金属蛋白質との関連が明らかになってきており、その蛋白質がどのような特性を有し、どのようにその機能を発現して疾病に関わっているかを理解できれば、その蛋白質をターゲットとした当該疾病の治療が期待される。しかしながら、機能発現に重要な金属の酸化還元状態を制御する良好な手法が確立されておらず、その理解は遅れている。本研究では、金属蛋白質の酸化還元状態を電極との電子のやりとりに基づいて制御する有用な分析法を開発する。これにより、疾病関連蛋白質の機能解析が進展し、疾病の治療に役たつと期待される。
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研究実績の概要 |
近年、がん等の疾病と金属蛋白質との関連が明らかになってきており、その蛋白質機能・特性を分子レベルで理解することは、該蛋白質をターゲットとする創薬において重要である。しかしながら、機能発現に重要な金属の酸化還元(レドックス)状態を制御する良好な手法が確立されておらず、in vivoでの疾病との相関研究に比べ、その理解は遅れている。本研究では、ナノ構造電極を活用する電気化学法を用いて、創薬ターゲットとなる金属蛋白質のレドックス制御技術を開発し、該蛋白質機能の分子レベルでの理解を進展させることを主目的とする。 本年度(5年目)は、これまで確立した免疫抑制に関与する酵素、インドールアミン2,3-ジオキシゲナーゼ(IDO)、の電気化学評価(アッセイ)法を用いて、当該酵素を阻害する化合物の探索を行なった。2種の計算手法、Multiple target screening (MTS)法およびDocking score index (DSI)法、を用いて阻害候補化合物を予測し、十数種類の予測された化合物について調査した。当該アッセイ系に候補化合物を添加し電流応答を計測したところ、ほとんどの化合物については変化が観られなかったが、ある化合物については明瞭な電流変化が観測され、IDO酵素反応を阻害していることが示唆された。化合物の濃度と得られた電流の相関から、IC50値が10 nM程度と見積もられ、有意な候補化合物を見つけることができた。また、昨年度に開発した金ナノ粒子によるナノ構造電極について、モデル金属蛋白質を用いた検討を行い、本電極の汎用性が高いことを明らかにできた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナウィルス等の影響により、全体的な遅延はあるものの、これまでに見出したナノ構造電極を用いて免疫抑制に関与する蛋白質であるインドールアミン2,3-ジオキシゲナーゼのレドックス制御と当該酵素反応の電気化学的なアッセイ法が有用であることを見出し、阻害剤の探索にも成功した。また、金ナノ粒子を用いた簡便な手法によるナノ構造電極の開発と金属蛋白質の電気化学的なレドックス制御の応用に対する有用性も示すことができた。
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今後の研究の推進方策 |
インドールアミン2,3-ジオキシゲナーゼ等の電気化学アッセイ法を用いた阻害剤探索の詳細を検討し、従来法との比較等を行いその有用性を示し、創薬展開のための基盤技術を構築する。また、他の疾患関連酵素の計測にも挑戦する。新たに創製したナノ構造電極についても引き続き解析や応用検討を進める。
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