研究課題/領域番号 |
19K07052
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分47030:薬系衛生および生物化学関連
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研究機関 | 東京女子医科大学 |
研究代表者 |
藤木 恒太 東京女子医科大学, 医学部, 助教 (80632504)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2020年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2019年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | ストレス応答 / 尿細管細胞死 / 鉄依存性細胞死 / 尿細管細胞 |
研究開始時の研究の概要 |
尿細管細胞死は、外的ストレス依存的に腎障害が生じる場合に観察される現象であり、その理解は、腎障害の治療や予防にも繋がる重要な課題である。近年、尿細管細胞では特定の条件下で鉄依存性脂質酸化依存型細胞死フェロトーシスが惹起されうることが報告されたが、未だにその詳細は捉えきれていない。そこで、HK-2ヒト近位尿細管上皮細胞を用いて尿細管細胞におけるフェロトーシス誘導メカニズムの解析を目指す。
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研究実績の概要 |
尿細管細胞死は、外的刺激依存的に腎障害が生じる場合に観察される現象であるため、その機序の解明は、腎障害の治療や予防にも繋がる重要な課題である。また、尿細管細胞では、近年、虚血性再灌流傷害によって腎障害が起きる場合、尿細管細胞では鉄依存性脂質酸化依存型細胞死フェロトーシスが惹起されうることが報告されたが、未だにその詳細を捉えきれていない。そこで、申請者は尿細管細胞におけるフェロトーシス誘導機構を明らかにすべく、HK-2ヒト近位尿細管上皮細胞を用いてフェロトーシス誘導機構の解析を行うことにした。 これまでの解析の結果、①caspase阻害剤X(阻害剤X)はフェロトーシス様HK-2細胞死を抑制する②阻害剤Xは、細胞内の鉄イオン調整因子FTH1の発現量が増加する③FTH1をウエスタンブロット法を用いて検出すると、阻害剤X処理時に、通常検出されるバンドに加え、低分子量側に新規のバンド(L-FTH1)が検出される④L-FTH1はNCOA4ノックダウンすることで、減少する⑤阻害剤Xのフェロトーシス様細胞死抑制効果は細胞株依存性があり、また血清の有無によって変動する⑥フェロトーシス様のHK-2細胞死を抑制する食品成分Yを同定し、食品成分Yは転写因子NRF2経路を介して抑制効果を発揮する、ことがわかった。 今年度は、食品成分Yの示す尿細管細胞死抑制作用に刺激特異性があるかを検討し、カドミウム刺激依存的尿細管細胞死は抑制する一方、高浸透圧刺激、シスプラチン刺激依存的な尿細管細胞死は抑制しないことがわかった。さらに、食品成分YはAkt経路を阻害することで、カドミウム刺激依存的HK-2細胞死を抑制することが明らかとなった。一方、食品成分Yは脂質酸化が関与する細胞死・マウス好中球ネトーシスを抑制することも明らかとなった。このことから、食品成分Yは脂質酸化に起因する細胞死とカドミウム刺激による細胞死とで異なる機序を介して細胞死抑制効果を発揮する可能性が示された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
caspase阻害剤Xの作用が細胞株や血清の有無に依存することから、実験の進行が難しくなっている。一方で、フェロトーシス様HK-2細胞死の分子基盤の解析に繋がることを期待し行っていた薬剤スクリーニングでは、阻害剤Yを同定することができた。食品成分Yについては、興味深い知見が得られており、現在は食品成分Yの解析を進行させることで、フェロトーシス様HK-2細胞死の分子基盤に迫ることを目指している。
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今後の研究の推進方策 |
caspase阻害剤Yが、血清非存在下において脂質酸化状態およびferritinophagyにどのような影響を及ぼすかを解析する予定である。食品成分Yについては、概ね論文化するのに十分な結果が得られたので、論文化を目指す。
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