研究課題
基盤研究(C)
近年になりタンパク質分解酵素複合体プロテアソームの阻害剤が難治性多発性骨髄腫の治療薬として使用されているが、薬剤耐性株に対する有効な対応策・治療戦略が確立していない。最近、申請者らはプロテアソーム不全時の恒常性維持にO-GlcNAc修飾タンパク質亢進が重要であることを見出した。本研究ではO-GlcNAc修飾タンパク質亢進による恒常性維持機構の分子メカニズム解明を軸にプロテアソーム不全に起因する病態発症機構の理解や、がん治療におけるプロテアソーム阻害剤耐性細胞に対する新たな分子標的薬ターゲット・治療アプローチの創出を目指す。
プロテアソームは細胞内タンパク質の分解に働き全ての真核細胞で必須の役割を担うタンパク質複合体である。申請者らが独自に確立した生理的プロテアソーム不全を模した実験系で実施した哺乳類培養細胞での遺伝学的探索により、プロテアソーム不全時の細胞における恒常性維持にO-GlcNAc修飾の亢進が重要であることを見出した。本研究ではこの具体的な分子機構を解明すべく、質量分析や遺伝学探索により同定した重要因子の役割や生理的な重要性について検討を行った。その中で実際にプロテアソーム機能の調節に働く因子を見出し、大まかな機能解明を終えることができたが、詳細の検証や、より発展的な研究拡大の必要性が生じている。
哺乳類プロテアソームの機能制御や生理機能についてはまだ未解明の部分が多く、プロテアソーム機能不全が関与すると考える広範な病態発症の基本原理の理解には課題が多いのが現状である。本研究においてプロテアソーム不全時にどのような細胞応答が生じるかを明らかにし、それを担う新たなプロテアソーム制御因子の同定と機能解明を進めたことは学術的にも重要性は高く、治療アプローチの作用点として今後研究が発展することで応用研究の基盤としても将来性が高い。
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すべて 雑誌論文 (9件) (うち国際共著 2件、 査読あり 9件、 オープンアクセス 8件) 学会発表 (8件) (うち国際学会 1件、 招待講演 1件)
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