研究課題
基盤研究(C)
Helicobacter cinaediは菌血症や蜂窩織炎の原因菌として分離され,院内感染を起こす.申請者は,院内感染事例由来の特定のクローンにはDNAのPhosphorothioate(PT)化修飾を行うdnd遺伝子群が特異的に存在することを見出した.DNAのメチル化修飾は外来DNAから自己のDNAを守るRMシステムの一環であるだけでなく,遺伝子の発現調節を介して病原性や環境適応に寄与している.一方,PT化修飾は近年明らかになったDNA修飾であり,その役割には不明な点が多い.そこで,本研究ではH. cinaediの病原性や環境適応におけるPT化修飾の寄与を明らかにする.
DNAのPhosphorothioate(PT)化修飾は最近近年明らかになった新規のDNA修飾であり、メチル化修飾では塩基がメチル化されるのに対し、PT化修飾ではデオキシリボースを繋ぐリン酸基の酸素が硫黄に置換される。メチル化修飾は外来DNAから自己のDNAを守るRestriction-Modification(RM)システムの一環であるだけでなく、遺伝子の発現調節を介して病原性や環境適応に寄与している。一方,PT化修飾の役割には不明な点が多い。我々はこれまでにH. cinaediの新規Autotransporter proteinが接着因子として機能していることを明らかにするなど、H. cinaedi感染による病態発現に寄与する因子の解析を進めてきた。本研究ではH. cinaediの院内感染由来クローンCC9が特異的にdnd遺伝子群を持つことに着目して研究を進めてきた。まずCC9であるMRY08-1234株のdnd欠損株を作製し解析した結果,PT化標的配列を明らかにした.さらにdnd遺伝子群欠損株のRNA-Seq解析の結果,dnd欠失株では野生株と比較し,二成分制御系や鞭毛の糖鎖修飾に関連するタンパク質をコードする遺伝子が有意に発現減少しており、細菌のPT化修飾が宿主適応に関連する因子の発現を調節している可能性が見出された。
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すべて 雑誌論文 (8件) (うち国際共著 2件、 査読あり 6件、 オープンアクセス 7件) 学会発表 (15件) (うち国際学会 2件、 招待講演 5件)
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