研究課題/領域番号 |
19K07107
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分47040:薬理学関連
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研究機関 | 東京医科大学 |
研究代表者 |
森谷 昇太 東京医科大学, 医学部, 助教 (30634935)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2021年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2020年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2019年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 多発性骨髄腫 / オートファジー / ボルテゾミブ / プロテアソーム / 微小環境 / マクロライド / クラリスロマイシン / 小胞体ストレス / 骨髄腫 / 共培養 |
研究開始時の研究の概要 |
骨髄腫が難治性である原因の一つに微小環境(癌の正常細胞との相互作用)がある。骨髄腫細胞が骨髄間質細胞(BMSC)に接着することにより微小環境誘導性薬剤抵抗(CAM-DR)が生じるが、その詳細な分子機構は明らかではない。
研究代表者は偶然にも、CAM-DRとオートファジーとを結びつける実験結果を得た。
そこで本研究では、骨髄腫細胞とBMSC細胞の共培養実験を中心として、CAM-DRにおけるオートファジーの役割を解明し、CAM-DR克服に向けた基盤形成を行うことを目的とする。特に、マクロライドのオートファジー阻害作用を活用することで、骨髄腫の新たな治療戦略の展開を目指すことを目的とする。
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研究成果の概要 |
微小環境誘導性薬剤耐性の解明を目指し、間質細胞株と骨髄腫株の共培養実験を実施した。ボルテゾミブ(BZ)の骨髄腫株に対する殺細胞作用は間質細胞株の存在下で大きく減弱した。しかし、オートファジー阻害作用を持つクラリスロマイシン(CAM)を併用投与すると、骨髄腫株への殺細胞作用が増強した。BZ+CAM併用はERストレス、ROSおよびアポトーシス促進タンパク質NOXAを増強した。NOXAはERストレスによる転写制御のみならず、オートファジー系の分解制御を受けており、CAMはNOXAの細胞内分解も阻害することが示唆された。微小環境のオートファジー阻害は骨髄腫の治療成績の改善につながる可能性が示唆される。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
多発性骨髄腫の治療目標は「完治」でなく「延命」となる。特に、BZと免疫調節薬(IMIDs)に耐性を獲得した症例の予後は極めて不良である。この原因の一つが微小環境であり、一刻も早い解明が求められている。本研究で見出されたBZとCAMの併用投薬は間質細胞株の存在下においても強力な殺細胞作用を誘導した。また、微小環境による薬剤耐性の原因として骨髄腫へのROS負荷、ERストレス負荷、NOXA誘導の減弱作用の存在が示唆され、オートファジー阻害作用を持つCAMはこれらを著しく増大させた。本研究成果を発展させ、オートファジーを標的とした治療法を開発することは骨髄腫の治療成績の改善に繋がる可能性が考えられる。
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