研究課題
基盤研究(C)
現在病院で処方されている抗うつ薬は、即効性がなく、効果が得られるまでに数週間以上の服用が必要であり、約3割の患者には効果がないため、新たな抗うつ薬の創出が求められている。私たちは、体内でDHAやEPAを原料にして生成されるレゾルビン類という物質に着目し、これまでにレゾルビン類を脳内に直接投与すると即効性の抗うつ効果が得られることを明らかにしてきた。本研究では、レゾルビン類の臨床応用を見据え、これらの点鼻薬が、既存の抗うつ薬が効かないうつ病にも有効か否かを調べるとともに、その作用メカニズムを明らかにすることを目的とする。
本研究により、エイコサペンタエン酸(EPA)の活性代謝物レゾルビンE1(RvE1)の経鼻投与が内側前頭前野(mPFC)でのBDNF、VEGF遊離とmTORC1活性化を介して抗うつ作用を示すことが明らかになった。また、RvE1経鼻投与は既存薬に抵抗性を示すうつ病モデルにも抗うつ作用を示した。さらに、レゾルビンE2安定化誘導体o-BZ-RvE2の経口投与がmPFC内mTORC1活性化を介して抗うつ作用を示すことを見出した。以上より、化学的に不安的なレゾルビン類を経鼻投与で効率的かつ非侵襲的に脳内に送達するか、安定化誘導体を創製することで新たな抗うつ薬としての臨床応用につながる可能性が考えられた。
うつ病の患者数は世界で約2.8億人と言われ、深刻な社会的・経済的損失をもたらしている。一方、既存の抗うつ薬は効果発現が遅く、3割の患者が治療抵抗性を示すため、新たな抗うつ薬の開発が喫緊の課題である。本研究の成果により、レゾルビン類やその誘導体が新たな抗うつ薬候補化合物として有望であることが示唆された。
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