研究課題/領域番号 |
19K07133
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分47040:薬理学関連
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研究機関 | 長崎国際大学 |
研究代表者 |
山口 拓 長崎国際大学, 薬学部, 教授 (80325563)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2021年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2020年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2019年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
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キーワード | 神経発達障害 / 幼若期ストレス / 抑うつ様行動 / 養育行動 / 選択的セロトニン再取り込み阻害薬 / 薬物治療 / DNAマイクロアレイ / 網羅的遺伝子発現解析 / 発達障害 / 抑うつ様行 / 前臨床評価法 / 行動解析 |
研究開始時の研究の概要 |
幼児・児童期に受けた虐待体験は、成長後に情動機能異常を有する精神疾患の病態や病因に深く関与している可能性が指摘されている。また、幼児・児童期の虐待体験は、成長後に注意欠如多動性障害(ADHD)や自閉症を含む様々な発達障害を誘引する危険因子となることが報告されている。これらを背景に本研究では、幼若期に薬理学的ストレスを負荷したラットにおける発達障害の動物モデルを用いて、ストレス負荷を受けた仔獣が母獣から受ける「養育」の観点から発達障害モデルが発現する行動異常の発現メカニズムの病態生理学的解明、ならびに薬物治療に向けての前臨床評価法の確立と新規薬物治療の探索を目指す。
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研究成果の概要 |
幼若期ACTH投与ラットが示す成長後の抑うつ様行動は、抑うつ様行動を評価する行動解析(スクロース嗜好試験およびSplash試験)から、母獣隔離飼育群において発達期に母獣あるいは里親による哺育によって改善する可能性、および選択的セロトニン再取込阻害薬フルボキサミンの治療的(ストレス負荷直後の処置)あるいは予防的(抑うつ様行動を発現する成熟期における処置)投与によっても改善した。また、幼若期ACTH投与ラットに認められる遅延性の抑うつ様行動の発現は、網羅的遺伝子発現解析の結果から、皮質前頭前野における時期特異的な発現パターンを示す脳内遺伝子群の関与が示唆された。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
幼若期ストレスモデルラットが示す成長後の抑うつ様行動は、発達期に母獣あるいは里親による哺育によって改善する可能性、および抗うつ薬の治療的あるいは予防的投与によっても改善した。これらの知見は、幼若期に曝露された過剰なストレスによる成長後の情動機能異常(例えば、抑うつ症状)の改善に、薬物療法(抗うつ薬)による治療介入のみならず、非薬物療法としての養育的介入の有用性を示唆すると考える。また、幼若期ACTH群に認められる遅延性の抑うつ様行動の発現は、時期特異的な発現パターンを示す脳内遺伝子群が関与することから、今後、その新たな脳内候補分子をターゲットとした治療戦略が期待される。
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