研究課題
基盤研究(C)
様々な生物活性を有するフラボノイド類(フラボン類)について、リン脂質膜親和性と生物活性強度の連関を化学的アプローチにより解明することを目的としている。また、フラボン類がリン脂質膜中のどこ(リン脂質膜表面あるいは内部)に、どのような状態(運動・配向・構造)で存在しているのかといった相互作用情報を分子レベルで取得し、生物活性発現機構の本質的理解と生物活性のより高い化合物("最強"の活性を有するフラボノイド)の創出を目指している。
フラボノイド類のリン脂質膜親和性と生物活性強度の連関を化学的アプローチにより解明することを目的とし,構造活性相関に資する多種多様なフラボノイド類を生薬からの単離あるいは化学合成することで取得した.リン脂質カラムを用いて算出されたこれらフラボノイド類のリン脂質膜親和性は,細胞膜内への蓄積量(取り込み量)と強い相関を示し,化合物の細胞膜内蓄積量を従来法より簡便かつ迅速に評価できることを示した.さらにモデルリン脂質膜とNMR法を駆使することで,フラボノイド二量体であるテアフラビン類のリン脂質膜中における構造基盤を解明し,テアフラビン類が呈する生物活性強度の違いを化学的に説明することができた.
化合物の生物活性発現初期機構を個々の分子の物理化学的性質(リン脂質膜親和性)と関連付けて実証している研究は稀であり,本研究課題は先駆的な位置付けであるといえる.また,化合物の細胞膜内蓄積量を簡便に評価することを可能にしたリン脂質カラム分析法の構築や,活性強度の差をリン脂質膜中における化合物の状態分析によって解明した本研究成果は学術的に意義があるといえる.さらに本研究課題によって創出されたフラボノイド類は今後のスクリーニングによって生物活性が見出されることにより,創薬研究のシーズ化合物として利用できると期待される.
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Journal of Natural Medicines
巻: 76 号: 2 ページ: 504-508
10.1007/s11418-022-01604-7
巻: 76 号: 1 ページ: 259-267
10.1007/s11418-021-01562-6
40022799597
https://www.keio-nm.jp
https://k-ris.keio.ac.jp/html/100012932_ja.html