研究課題/領域番号 |
19K07181
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分47060:医療薬学関連
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研究機関 | 神戸常盤大学 |
研究代表者 |
井本 しおん 神戸常盤大学, 保健科学部, 客員教授 (50263380)
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研究分担者 |
澤村 暢 神戸常盤大学, 保健科学部, 講師 (20709042)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
3,640千円 (直接経費: 2,800千円、間接経費: 840千円)
2021年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2020年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2019年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | transfusion / iron overload / macrophage / heme / deferasirox / eltrombopag / statins / ferroptosis / 輸血後鉄過剰症 / 鉄キレート剤 / エルトロンボパグ / スタチン / マクロファージ / ヘム鉄 / フェロトーシス / ヘム / 細胞内不安定鉄 / フェリチン / 抗酸化剤 |
研究開始時の研究の概要 |
輸血後鉄過剰症は、輸血依存患者の生命予後を悪化させる。治療には経口鉄キレート剤が有効であるが、副作用などのため継続できない患者が多い。 本研究の目的は、輸血後鉄過剰症の主因であるマクロファージのフェロトーシス(鉄依存性細胞死)を抑制する薬剤の探索である。鉄キレート剤のフェロトーシス抑制効果を増強する薬剤の探索、鉄イオンを不活化するフェリチンの発現を増加させる薬剤の探索する。マクロファージのフェロトーシス評価するアッセイ系として、ヒト単球系培養細胞THP-1 とへミンを用いて研究を進めていく。
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研究成果の概要 |
マクロファージにヘム鉄(ヘミン)が負荷されると、活性酸素種(ROS)産生、不安定鉄(LIP)上昇、細胞死誘導が見られるが、非ヘム鉄では見られないことがわかった。鉄キレート剤はヘミンによる細胞死を抑制した。その作用はデフェラシロクス(DSX)が最強で、治療レベルよりも低濃度で抑制効果が得られた。高脂血症治療薬スタチンはヘミン細胞死を抑制し、DSXと併用すると単独よりも抑制作用を増強した。トロンボポエチン受容体作動薬エルトロンボパグ(ELT)は、低濃度でDSXと同等以上にヘミン細胞死誘導を抑制した。ELTとスタチンの併用、ELTとDSXの併用は、いずれも単独より抑制作用を増強することがわかった。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
輸血後鉄過剰症では、まずマクロファージがヘム鉄によって傷害され、その後に臓器傷害が進展するため、ヘムによるクロファージ傷害を抑制することが重要である。我々は、ヒト単球系細胞THP-1と無血清培地によるアッセイシステムを開発し、ヘミンによる細胞傷害を抑制する薬剤を探索した。スタチンが単独でも抑制効果を示すこと、鉄キレート剤デフェラシロクス(DSX)およびエルトロンボパグはいずれも低濃度で抑制作用を示すとともに、スタチンとの併用で抑制効果が増強されることを示すことができた。スタチンを併用すると、より低濃度のDSXで治療効果が得られる可能性を示すことができ臨床的に有意義な成果と思われる。
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