研究課題/領域番号 |
19K07228
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分47060:医療薬学関連
|
研究機関 | 奥羽大学 |
研究代表者 |
佐久間 勉 奥羽大学, 薬学部, 教授 (30250468)
|
研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2025-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2020年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2019年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
|
キーワード | 性差 / 薬物代謝 / シトクロムP450 / microRNA |
研究開始時の研究の概要 |
薬物代謝酵素シトクロムP450の性差は薬効や毒性発現の個人差の一因となる。そのため、性特異的調節機構に関する研究は、薬物の効果的かつ安全な投与設計を目指した個別化医療を実現する上で非常に重要な研究課題となる。本研究ではmicroRNAに注目し次の4つの点を明らかにする。即ち、マウスの主要な性依存的P450の発現調節機構にmicroRNAの関与があるか否か、関与がある場合標的遺伝子mRNAのどの配列にどのmicroRNA分子が結合し発現を変化させるか、既知の性依存的発現に関わる要因(GH分泌様式、性周期、性依存転写因子)とmicroRNAの関係、ヒトとの種差を解析する。
|
研究実績の概要 |
Cyp3a遺伝子発現に性差が生じる一因としてmicroRNAに注目し、データベース検索により性差に関与する可能性のあるmicroRNAが複数候補に挙がった。それらには直接CYP3A mRNAを標的にするものとCyp3a遺伝子発現の調節に関わる転写因子HNF4αを標的にするものが含まれた。そこで機能的にそれらによる調節を解析するため、令和5年度も培養細胞への一過性導入によるレポーター遺伝子アッセイを利用した評価系と安定発現細胞株を利用した評価系の構築を進めた。 前者はpmirGLO dual-luciferase miRNA target expression vector を用いレポーター遺伝子アッセイ用プラスミドを構築した。本年度はHNF4α mRNA内の4カ所のmiRNA結合予想部位を含むレポータープラスミドを構築した。解析候補としたmiRNA4種と陽性対象とするmiRNA1種の活性を確認するためのレポータープラスミドの構築も終えた。現在レポーターアッセイに用いる培養細胞を入手し解析の準備を進めている。今後それらのプラスミドを用い、mRNA上の標的配列並びに機能的なmicroRNAの同定を進める。 後者の評価系を作製するため、pTarget mammalian expression vector を利用しHNF4α mRNAを発現させるプラスミドを構築した。今後、培養細胞にそれらを導入することで安定発現株を樹立する。培養細胞において内在的に解析対象に類似した酵素やタンパク質が発現している可能性がある。そこで組換えタンパク質にタグを付加し発現させるためにCYP3A41, CYP3A44およびHNF4αの発現プラスミドの改変を進めている。それらを用い酵素活性や転写因子活性に対するmiRNAの影響を評価する予定である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
新型コロナウイルス感染拡大に伴う各種の制限が解除され研究が再開したが、遅れは未だに取り戻せていない。令和3年2月と令和4年3月に起こった大地震による研究室の被害も甚大であった。研究室内の実験環境はかなり回復したが、例えば超遠心分離機を利用できない状態が令和5年度においても続いているなど、重要な機器の一部に未回復なものがあり遅延の一因となっている。また、大学が実験室のある建物の耐震改良工事を始めたため、実験室を使えない期間も生じた。 遺伝子組換えプラスミドの構築に困難があり遂行の障害となっていた。実験系の詳細な見直しによって原因の一部は令和3年度に特定されたが、未解決の問題が残り進行遅れの要因となっていた。その点についても実験操作の再度の見直しにより令和5年度に原因が明らかとなり解決を見た。 本研究ではマウス遺伝子発現の解析に肝細胞初代培養系を用いる予定であった。しかし代表者が使用しているプロトコルでは遊離肝細胞回収率が不安定で、これも研究進行遅延の一因となっている。
|
今後の研究の推進方策 |
令和6年度は大学の新型コロナウイルス感染拡大に伴う各種制限が解除されるため研究のスピードアップが期待される。2度の大地震による被害は大部分が回復したが、未だ超遠心分離機は回復していない。そこでそれら機器を使用しない実験方法での解析を目指す。 本研究ではマウス初代培養肝細胞を用いるが、未だその回収率の低さは解決していない。経験的に季節が影響しているため、比較的回収率の良い季節(夏季)に実施する。令和6年度は5年度までに構築したプラスミドを候補microRNAの前駆体と共に培養細胞に一過性にトランスフェクションし、レポーター遺伝子アッセイを行うことによりmRNA上の標的配列並びに機能的なmicroRNAの同定を進めたい。本年度もマウス初代培養肝細胞での解析が難しい事が予想されるため、本年度は株化細胞での解析を優先させる予定である。安定発現株による解析では、発現細胞にmicroRNA前駆体をトランスフェクションしmicroRNAの影響を解析する予定であるが、CYP3A41, 3A44発現の解析には簡便に解析できる市販の評価系を利用する予定である。HNF4α発現株においても、ルシフェラーゼアッセイを利用した簡便な評価系を構築し早急な評価を目指す。
|