研究課題/領域番号 |
19K07270
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分48010:解剖学関連
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研究機関 | 大分大学 |
研究代表者 |
濱田 文彦 大分大学, 医学部, 教授 (70252707)
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研究分担者 |
村上 和成 大分大学, 医学部, 教授 (00239485)
二宮 遼 大分大学, 医学部, 助教 (00794041)
赤嶺 孝祐 大分大学, 医学部, 助教 (60799435)
久保 修一 大分大学, 医学部, 助教 (60898097)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
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配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2021年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2020年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2019年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
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キーワード | ピロリ菌 / 炎症性脂質メディエーター / CagA / 炎症 / 胃がん |
研究開始時の研究の概要 |
ピロリ菌、特に菌体から胃粘膜上皮細胞へ注入されるCagA毒素蛋白質をもつピロリ菌は炎症を基盤とした強い発癌活性を示すが、その機序の全貌は明らかにされていない。我々は胃細胞内でCagAを発現させることによって、炎症に関連する特定の生理活性脂質が顕著に増加することを発見した。本研究では細胞レベルの実験に加え、スナネズミを用いたに個体レベルの実験系を用いることにより、CagA陽性ピロリ菌による発癌過程において、生理活性脂質が担う役割を明らかにする。本研究により、ピロリ菌感染に起因する胃の前癌病変として位置づけられる慢性および萎縮性胃炎を治療標的とした新たな薬剤の開発に結び付けたい。
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研究成果の概要 |
ピロリ菌感染、特に CagA 毒素を持つピロリ菌感染が炎症を遷延化させるメカニズムは未だ不明の部分が多い。本研究では、ショウジョウバエを用いたゲノム規模の遺伝学的スクリーニングを行い、CagA の標的として炎症を促進する脂質メディエーターを発見した。胃培養細胞に CagA を強制発現または CagA 陽性ピロリ菌を感染させたところ、炎症性脂質メディエーター量の顕著な増加が認められた。さらにこれらの細胞の培養上清においてもメディエーター量が顕著に増加することから、細胞内で増加したメディエーターが細胞外へ放出されることが強く示唆された。現在これらの結果の生理学的意義の検証を進めている。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
ピロリ菌感染、特に CagA 毒素を持つピロリ菌感染では炎症が長く続き、本来の胃粘膜の特性が徐々に失われ、萎縮性胃炎から胃癌の発生へと向かうと考えられている。ピロリ菌感染が炎症を長引かせるメカニズムについては未だ結論が得られていない。本研究では、胃細胞に CagA を発現させたり、CagA 陽性ピロリ菌を感染させたりすると、炎症を促進する脂質メディエーター量が細胞内で顕著に増加し、これが細胞外へも放出されることが明らかになった。薬剤耐性のピロリ菌の出現が広く確認される中、我々の研究成果はピロリ菌感染に対する新たな治療法の開発に結び付くことが期待される。
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