研究課題/領域番号 |
19K07272
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分48010:解剖学関連
|
研究機関 | 岩手医科大学 |
研究代表者 |
東尾 浩典 岩手医科大学, 教養教育センター, 准教授 (50342837)
|
研究分担者 |
齋野 朝幸 岩手医科大学, 医学部, 教授 (40305991)
横山 拓矢 岩手大学, 農学部, 准教授 (70772094)
|
研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2025-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2020年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2019年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
|
キーワード | 細胞生物学 / マスト細胞 / 脱顆粒 / エキソサイトーシス / 分泌様式 / 分泌刺激 |
研究開始時の研究の概要 |
マスト細胞は活性化されると生理活性物質を貯留した分泌顆粒を開口放出(脱顆粒)する。脱顆粒の様式は細胞膜―分泌顆粒間、分泌顆粒―分泌顆粒間の膜融合が複雑に組み合わさった複雑なものであり、さらにこれが分泌刺激の種類によって変化することが示唆されている。本研究では、分泌刺激ごとに、脱顆粒によって生じる細胞内膜構造とその形成過程を精細に捉え、その形態的差異がどのような細胞内環境や分子基盤の差異に起因するのかを解明する。
|
研究実績の概要 |
マスト細胞は分泌顆粒に様々な生理活性物質を貯留しており、分泌刺激を受けてそれらを開口放出(脱顆粒)するが、その様式は一般的な分泌様式とは異なる。本研究では、分泌顆粒の挙動 (mCherryにて)と脱顆粒 (pH感受性GFPバリアントpHluorinにて)を同時に可視化できる分泌顆粒マーカー、および近赤外光タンパク質iRFPを用いた細胞膜マーカーを構築し、脱顆粒様式の3Dタイムラプスイメージング解析を行なってきた。これまでに、1) 定常状態では分泌顆粒は大きなクラスターを形成しているが、クラスター間に一過的な接着やチューブル形成を介した連絡があるなど動的であること、2) TPA+A23187刺激時には、クラスター内・クラスター間での逐次的な脱顆粒 (compound exocytosis)が顕著に生じること、3) IgE+抗原刺激時には、クラスターから生じ細胞辺縁 (刺激後に急速に形成される細胞突起を含む)へと移動した分泌顆粒様構造が小規模な脱顆粒を起こすこと、および4) 刺激後急速に形成される細胞突起から、分泌顆粒マーカーがpHluorin蛍光の有無を問わずLarge Extracellular Vesicle (Large EV)様構造として細胞外へ放出されること、などを見出している。そのうち4)は今後の研究課題とし、本研究では1)から3)について、遺伝子ノックダウンや阻害剤の活用により各現象の背景にある分子基盤をイメージング解析した。各現象に関与している脱顆粒や細胞骨格に関連する遺伝子を同定しており、現在、当該遺伝子の発現制御により生じる脱顆粒様式の変化を電子顕微鏡を用いて詳細に示そうと試みている。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
感染症拡大に係る出張自粛および研究外業務増大等により、研究協力者のもとでの高速共焦点レーザー顕微鏡を用いた3Dタイムラプスイメージングは、3年の研究予定期間のうち1年目しか行うことが出来なかった。しかし幸いにも、研究予定期間の3年目に、所属研究機関に実験データ取得に堪え得る共焦点レーザー顕微鏡が導入された。それ以降、当該顕微鏡に適切なイメージング条件の再設定(レーザー波長や検出器感度に対応した蛍光オルガネラマーカーの再構築など)、および1年目に得たデータの再現性確認を経て、成果発表に必要なデータ取得を進めているが、当初計画よりは相当遅れた進捗状況となっている。
|
今後の研究の推進方策 |
脱顆粒関連遺伝子の発現抑制や細胞骨格関連阻害剤の使用による、研究実績欄に記した1)から3)の現象を司る分子基盤のイメージング解析を早急に完了させる。また同定した遺伝子について、その発現制御下での脱顆粒様式の電子顕微鏡観察を早急に進める。これらの実験と並行して誌上発表の準備を進め、データが揃った段階で投稿できるよう備える。
|