研究課題/領域番号 |
19K07274
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分48010:解剖学関連
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研究機関 | 北里大学 |
研究代表者 |
大久保 直 北里大学, 医学部, 准教授 (10450719)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2022年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2021年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2020年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2019年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | 咽頭弓 / Ripply3 / 胸腺形成 / 心臓流出路 / 胸腺の移動 / RIpply3 / アミノ酸モチーフ / ゲノム編集 / WRPWモチーフ / FPVQモチーフ / 咽頭嚢 |
研究開始時の研究の概要 |
胎仔期に現れる咽頭弓は心臓や胸腺の形成に重要である。申請者は、咽頭弓で特異的に発現するRipply3の欠損マウスの解析から、Ripply3が咽頭弓や胸腺の形成に必須であり、また培養細胞を用いた解析から、Ripply3はアダプター分子として転写調節だけでなく細胞接着に関わることを見出した。そこで本研究は、Ripply3の進化的に保存されたアミノ酸モチーフに変異を導入したノックインマウスや胚葉特異的Ripply3欠損マウスの解析により、Ripply3が異なるタンパク質との相互作用を介して咽頭弓から胸腺の分離移動をどのように制御しているか解明し、ヒトの先天性心臓免疫疾患の病態解明に貢献する。
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研究実績の概要 |
マウスのRipply3は咽頭弓に発現する遺伝子で、Tbx1の転写活性を抑制的に制御する因子と示唆されている。本研究では、Ripply3の配列で進化的に保存されたアミノ酸モチーフ(WRPWとFPVQ)に注目し、それらに変異を導入したノックイン(KI)マウスを作成し、Ripply3 KOマウスの胸腺の表現型と比較することで、各モチーフの機能を顕在化しようと考えた。2022年度は、WRPWをアラニン(AAAA)に置換したWA-KIマウスとFPVQをアラニン(AAAA)に置換したFA-KIマウスの咽頭弓の形態について解析を行った。その結果、どちらのKIホモ胚においても、胎生9.5日では第3咽頭弓の形成不全がみられた。また心臓流出路と背側大動脈をつなぐ第3鰓弓動脈は無いか、もしくは途中で途絶えた痕跡的な動脈が観察された。さらに胎生10.5日では、どちらのKIホモ胚においても第4咽頭弓は十分に形成されず、第4鰓弓動脈も無い、あるいは途中で途絶える傾向がみられた。一方、正常な発生過程では第2鰓弓動脈は、後方の咽頭弓の分節化の進行に伴い退縮するが、KIホモ胚では第3、第4鰓弓動脈が形成されない代わりに、第2鰓弓動脈が残存する傾向がみられた。以上の結果から、WRPWもしくはFPVQに変異を導入すると、Ripply3 KOマウス胚の咽頭弓と似た表現型を示すことが分かった。すなわち、各モチーフへの変異導入は、第3、第4咽頭弓の形成不全を伴って鰓弓動脈のリモデリングパターンを大きく変化させ、その後の心臓流出路形成および咽頭部からの胸腺の分離・移動に多様な影響を及ぼすと考えられた。従って、咽頭弓内胚葉と外胚葉において発現するRipply3はWRPWとFPVQモチーフを介したタンパク質相互作用により極めて重要な働きを担っていることがin vivoで証明された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2022年度は、Ripply3の胚葉特異的な役割を解明するために、Ripply3 flox マウスを増やし解析を進める予定だったが、新型コロナ感染拡大の影響もあり、Ripply3 floxマウスの繁殖を十分に進めることができなかったため、研究計画はやや遅れていた。現在は、Ripply3の内胚葉特異的な欠損マウスを作成するためのFoxa2-creERマウスの繁殖も進んでいる。今後、内胚葉特異的な Ripply3欠損個体における胸腺および心臓流出路の表現型を解析する。
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今後の研究の推進方策 |
Ripply3 floxマウスとFoxa2-creERマウスを交配し、内胚葉特異的な欠損マウス胚を作成し、咽頭弓および胸腺、心臓流出路の表現型解析を進める。また、Ripply3 WA-KIホモマウスにおいては、生後も生存し続ける個体が少数ではあるが存在するため、それらについて胸腺や心臓の表現型を解析し、その研究成果を論文として発表する。
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