研究課題/領域番号 |
19K07292
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分48020:生理学関連
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研究機関 | 生理学研究所 |
研究代表者 |
山肩 葉子 生理学研究所, 行動・代謝分子解析センター, 特別協力研究員 (20210338)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2021年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2020年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2019年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | 加齢 / 記憶 / キナーゼ / 蛋白質リン酸化 |
研究開始時の研究の概要 |
高齢化社会が急速に進む中、加齢に伴う認知機能の低下、特に海馬依存性の記憶の低下は、大きな社会問題となっている。しかしながら、その詳細な分子メカニズムは未だ不明であり、それを追究し、予防策を講ずることは、現代の社会において喫緊の課題である。一方、脳に多く存在する蛋白質リン酸化酵素、カルモジュリンキナーゼIIは、シナプス可塑性や海馬依存性の学習・記憶に不可欠な分子であり、このメカニズムに関与する可能性が高い。本研究においては、加齢に伴う海馬依存性の記憶の低下に、このキナーゼ活性の低下が関わっているのかを探り、さらには、加齢による海馬依存性記憶の低下を抑制する可能性を追究したい。
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研究実績の概要 |
海馬依存性記憶が加齢と共に低下することはよく知られている。その原因として、加齢に伴う中枢神経系、特に海馬の萎縮・神経細胞数の減少が想定されていたが、最近ではシナプス機能の変化が注目を集めている。シナプス機能の中でも、学習や記憶の基本現象と考えられるシナプス可塑性に重要な働きをする分子として、Ca2+/カルモジュリン依存性プロテインキナーゼII(カルモジュリンキナーゼII、CaMKII)が知られている。4つの遺伝子にコードされたアイソフォームのうち、CaMKIIαがその中心的な役割を果たすと考えられ、実際、研究代表者らが作製した不活性型のCaMKIIαノックインマウス(CaMKIIα-KI)では、海馬依存性の記憶に著しい障害が観察されている。本研究においては、加齢に伴う海馬依存性の記憶の低下にカルモジュリンキナーゼIIの活性低下が関わっているという仮説を立て、その仮説の検証を目指している。 カルモジュリンキナーゼII活性は学習・記憶のみならず、情動にも影響を与えることから、昨年度までの学習・記憶に関する行動解析に加えて、本年度は情動関連行動についても、高齢マウス群と若年マウス群とで比較を行った。その結果、明暗往来テストにおいて、高齢マウス群と若年マウス群との間で、不安様行動に大きな変化は認められなかった。さらに他のテストを用いて情動関連行動の解析を進めており、学習・記憶と情動行動との関連性についても評価も行っているところである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は学習・記憶のテストに加えて情動関連行動についても解析を行った。その結果、明暗往来テストにおいて、高齢マウス群と若年マウス群との間で、不安様行動に大きな変化は認められなかった。さらに他のテストを用いて情動関連行動の解析を進めており、学習・記憶と情動行動との関連性についても評価も行っているところである。このように計画通り、概ね順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
今後さらに情動も含めた行動学的解析を進め、キナーゼ活性との関連を探ることにより、加齢に伴う記憶の低下のメカニズムを明らかにする予定である。
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