研究課題/領域番号 |
19K07314
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分48030:薬理学関連
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研究機関 | 千葉大学 (2021-2022) 筑波大学 (2019-2020) |
研究代表者 |
入鹿山 容子 千葉大学, 真菌医学研究センター, 特任講師 (90312834)
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研究分担者 |
桜井 武 筑波大学, 医学医療系, 教授 (60251055)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2021年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2020年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2019年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | 敗血症 / 脳波 / 全身性炎症 / オレキシン / セボフルラン / 全身炎症 / 認知機能 / ミクログリア / 睡眠 |
研究開始時の研究の概要 |
日本では平均寿命は長いが健康寿命との間に約10年もの開きがあり、それが老後のQOLの低下を招き、医療費を圧迫することなどが社会問題となっている。高齢者は、医療の進歩で救急救命率は向上するも細菌感染に伴う敗血症を起こしやすく、長期予後の精神障害、認知機能の低下を引き起こす。本研究では、敗血症性全身性炎症モデルマウスを用い、オレキシンが予後の認知機能に及ぼす影響について、脳内ミクログリアの動態に着目し標的神経部位を同定する。さらに、薬理遺伝学的、光遺伝学的手法を用いて検証する。また、全身性炎症状態での睡眠異常と予後の認知機能との関連性について調べ、新規治療介入因子を開発し、健康寿命の向上を図る。
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研究実績の概要 |
近年、日本を含む先進国では長寿化に伴い、精神疾患や不眠症、認知症の発症率が増加している。高齢者は免疫力が低下し、細菌感染による敗血症を起こしやすくなっている。敗血症は脳の炎症反応を引き起こすため、認知機能の低下をもたらすことが多いといわれている。また、集中治療室(ICU)環境下では、人工呼吸器や点滴、薬剤の使用などによって睡眠が分断化されることがあり、せん妄を伴う場合が多く、認知機能の低下やQOLの低下を引き起こすことが報告されている。そこで、睡眠を改善することが重要視されている。具体的には、せん妄の予測因子として知られる高周波数の脳波の維持が重要であり、睡眠の改善によって、せん妄予防や認知機能の維持に役立つことが示唆されている。 本研究ではマウスに脳波・筋電測定電極を装着したのち、敗血症性全身炎症モデルマウスを作成した(LPS腹腔内投与により誘導)。LPS投与後24時間の脳波を計測した後、20秒を1単位としてレム、ノンレム、覚醒の3ステージに分けた。さらに、各ステージにおけるθ波やα波・β波といった周波数の高い脳波の全体に占める割合を求めた。オレキシン・オレキシン受容体拮抗薬や吸入麻酔薬セボフルランの投与によって、全身性炎症下の睡眠を改善することが可能であることが示された。特に、レム睡眠時のθ波の回復が顕著であり、高周波数の脳波の割合も回復傾向にあったことから、睡眠の改善がせん妄予防や認知機能の維持に役立つことが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
コロナ禍における実験の制限や、研究棟の引っ越しなどの影響でセットアップが遅れ、全体的に研究の進捗が遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
これまでの研究で、睡眠の改善がせん妄予防や認知機能の維持に役立つことが示唆されている。また、最近の研究では高周波数脳波の維持がせん妄のリスク低下には重要であることが知られている。 本研究で、マウスの脳波解析から、記憶や認知機能と関わるレム睡眠など、また高周波数脳波の回復が顕著に観察された、全身性炎症モデルマウスで、巣作り行動と高周波数脳波の改善作用には正の相関があることが示されている(David C. Consoli, Brain Behvior, and Immunity, 2023)。 今後の研究においては、全身性炎症モデルマウスを用いて、オレキシン系・セボフルランの脳波改善効果と巣作り行動との相関を調べることにより、睡眠改善がせん妄予防や認知機能の維持に重要であることを検証する予定である。
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