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マウスを用いたプラセボ反応に関与する脳内機構の解明と神経疾患治療法の探索

研究課題

研究課題/領域番号 19K07337
研究種目

基盤研究(C)

配分区分基金
応募区分一般
審査区分 小区分48030:薬理学関連
研究機関帝京大学 (2020)
徳島文理大学 (2019)

研究代表者

岸本 泰司  帝京大学, 薬学部, 教授 (90441592)

研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2022-03-31
研究課題ステータス 交付 (2020年度)
配分額 *注記
3,120千円 (直接経費: 2,400千円、間接経費: 720千円)
2021年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2020年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2019年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
キーワードプラセボ反応 / ドパミン / 内在性カンナビノイド / ECoG電極 / ドパミン受容体 / マウスモデル / モデルマウス / 疼痛 / 古典的条件づけ / 記憶学習
研究開始時の研究の概要

プラセボ反応(およびノセボ反応)の脳内分子基盤を明らかにすることを目的とし、マウス(疾患モデルマウス)に対し、行動学、薬理学、電気生理学などの各種神経科学的方法論を適応する。行動課題としては、ホットプレート試験、尾懸垂試験、瞬目反射条件づけなどの各種痛覚、抑うつ、学習試験を使用し、これら神経現象の基礎となる神経伝達物質、各脳部位の寄与などを明らかにする。また、プラセボ反応を利用した疼痛や抑うつに対する治療法の可能性も探ることも目的とする。

研究実績の概要

本年度においては、前年度までに確立したマウスにおけるプラセボ(ノセボ)鎮痛条件づけ系を用いて、1)薬理学実験、2)各種遺伝子改変マウスへの適応、3)脳損傷および皮質脳波(Electro-Cortico-Grpahy: ECoG)計測の導入検討、を行った。薬理学実験では、主に内在性カンナビノイドの特異的分解酵素阻害薬の効果をみた。具体的には、アナンダミドの合成酵素であるFAAH(脂肪酸アミド加水分解酵素)阻害薬であるURB597と、2-AGの合成酵素であるMGL(モノアシルグリセロールリパーゼ)阻害薬であるURB602のプラセボ反応に対する効果をいくつかの濃度条件で検証した。その結果、URB602はプラセボ反応に影響をおよぼさなかったのに対し、URB597 (0.3 mg/kg) はこの反応を有意に減少させた。また、海馬CA1領域の長期増強(LTP)に障害が報告されており、自閉症スペクトラム症候群や統合失調症のモデルマウスとしても報告されているMDGA1KOマウスおよびMDGA2KOマウスにおけるプラセボ条件づけを調べた。その結果、どちらの系統でもノセボ反応に顕著な障害が観察され、ノセボ反応における海馬の重要性が示唆された。プラセボ反応は、MDGA2 KOマウスでは正常であったが、MDGA1KOマウスでは有意に減少していた。さらに、ある種のアルツハイマー病モデルマウスへの条件づけの適用を行ったところ、プラセボ反応の減弱傾向が確認できた。最後に、プラセボ反応に関与する脳部位の同定を行うことを目的として、イボテン酸を用いた海馬破壊と、ECoGの方法論について条件検討を行った。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

実験者により、野生型マウスにおけるプラセボ反応の度合いのばらつきが大きく、前年度に引き続き「文脈」「条件刺激」単独ではマウスにプラセボ反応を起こすことができなかったため、統合フレームワーク理論の生物学的検証は今年度ストップした。また、2020年度途中で研究代表者の所属大学が変わり、機器の継続使用に困難があり、さらには動物実験が行えない期間が生じたことも当初の実験計画通りの進行が達成できなかった理由としてあげられる。コロナ禍のため、卒業研究生が行える実験時間の減少も影響として大きかった。しかし、薬理学的な検討は当初の予定より大幅に詳細に調査を進めることができた。

今後の研究の推進方策

2020年度に条件検討を行った、脳損傷あるいは皮質脳波(ECoG)計測の手法を組み合わせることで、プラセボ/ノセボ反応に重要なマウス脳領域を明らかにする。また腹側被蓋野の活性化(もしくは不活性化)により、プラセボ反応の増強もしくは減弱が起こるかを確認することにより、プラセボ反応における報酬系の重要性を明らかにし、ひいては統合フレームワーク理論の一部検証を行う。さらに今年度の薬理実験では、一部はネガティブな結果ではあったものの、内在性カンナビノイドの特異的分解酵素のノックアウトマウスが年度内に入手できれば、これらの遺伝子改変マウスの条件づけを行うことで、プラセボ反応に関与する内在性カンナビノイドを同定する。内在性カンナビノイド以外でも、グルタミン酸受容体をはじめとして、幾つかの種の神経伝達物質の遺伝子改変マウスでプラセボ反応の解析を行う予定である。

報告書

(2件)
  • 2020 実施状況報告書
  • 2019 実施状況報告書

研究成果

(8件)

すべて 2020 2019 その他

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (4件) 備考 (3件)

  • [雑誌論文] MDGA1-deficiency attenuates prepulse inhibition with alterations of dopamine and serotonin metabolism: An ex vivo HPLC-ECD analysis.2020

    • 著者名/発表者名
      Hossain MR, Jamal M, Tanoue Y, Ojima D, Takahashi H, Kubota T, Ansary TM, Ito A, Tanaka N, Kinoshita H, Kishimoto Y, Yamamoto T.
    • 雑誌名

      Neurosci, Lett.

      巻: 716 ページ: 134677-134677

    • DOI

      10.1016/j.neulet.2019.134677

    • 関連する報告書
      2019 実施状況報告書
    • 査読あり
  • [学会発表] Exploring the molecular basis of placebo response using mouse placebo analgesia conditioning2020

    • 著者名/発表者名
      岸本泰司、中村裕子、新開崇広、青野仁美、藤原友佳、大畑南美、松崎真也、山本融
    • 学会等名
      第43回日本神経科学大会
    • 関連する報告書
      2020 実施状況報告書
  • [学会発表] MDGA1ノックアウトマウスの社会性行動に対するD-サイクロセリンの効果2020

    • 著者名/発表者名
      松崎真也、萩かれん、中澤鈴菜、尾嶋大喜、山本融、窪田剛志、岸本泰司
    • 学会等名
      日本薬学会第141年会
    • 関連する報告書
      2020 実施状況報告書
  • [学会発表] プラセボ反応に対するドパミン受容体およびカンナビノイド受容体拮抗薬の効果2020

    • 著者名/発表者名
      新開崇広、中村裕子、青野仁美、藤原友佳、岸本泰司
    • 学会等名
      日本薬学会第140年会
    • 関連する報告書
      2019 実施状況報告書
  • [学会発表] マウスモデルを用いたプラセボ反応における内在性カンナビノイド受容体およびドパミン受容体の役割の解析2019

    • 著者名/発表者名
      中村裕子, 新開崇広, 青野仁美, 藤原友佳, 岸本泰司
    • 学会等名
      第58回日本薬学会日本薬剤師会日本病院薬剤師会中国四国支部学術大会
    • 関連する報告書
      2019 実施状況報告書
  • [備考] 主催研究室のWebページ

    • URL

      http://kp.bunri-u.ac.jp/kph/index-7.html

    • 関連する報告書
      2020 実施状況報告書
  • [備考] researchmap

    • URL

      https://researchmap.jp/read0109518

    • 関連する報告書
      2019 実施状況報告書
  • [備考] 研究室のwebpage

    • URL

      http://kp.bunri-u.ac.jp/kph/index-7-ja.html

    • 関連する報告書
      2019 実施状況報告書

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公開日: 2019-04-18   更新日: 2021-12-27  

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