研究課題/領域番号 |
19K07338
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分48030:薬理学関連
|
研究機関 | 福岡大学 |
研究代表者 |
道具 伸也 福岡大学, 薬学部, 教授 (60399186)
|
研究分担者 |
高田 芙友子 福岡大学, 薬学部, 准教授 (70412575)
松本 純一 福岡大学, 薬学部, 助教 (10550064)
|
研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
|
研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
|
配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2020年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2019年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
|
キーワード | 脳ペリサイト / パーキンソン病 / αシヌクレイン / 炎症性腸疾患 / 炎症性メディエーター / P糖タンパク質 / 血液脳関門 / Toll様受容体 / オートファジー / 炎症性サイトカイン |
研究開始時の研究の概要 |
パーキンソン病はαシヌクレインの脳内蓄積・凝集とドパミン神経の脱落を病理的特徴とするが、その発症原因は不明である。我々は脳ペリサイトが、ドパミン神経を保護すること、αシヌクレインの脳内蓄積・凝集を抑制しうることを突き止めた。そこで、パーキンソン病の病理所見である①脳内炎症、②脳に先行した血中および消化管αシヌクレイン増加、③危険因子としての炎症性腸疾患に着目し、「腸炎症に起因する脳ペリサイトの機能異常がαシヌクレインの脳内蓄積を惹き起こす」と考えた。本研究では、脳ペリサイトの異常化を中核に据え、上記の過程に関わる責任分子・機序を明らかにし、末梢および脳を標的とした治療法の開発を目指す。
|
研究成果の概要 |
本研究では「腸炎症に起因する脳ペリサイトの機能異常がαシヌクレインの脳内蓄積を惹き起こし、孤発性パーキンソン病の発症・進展に寄与する」と仮説し、脳ペリサイト異常化に関わる責任分子・機序の解明を企てた。線維化αシヌクレインによる脳ペリサイトの炎症性メディエーター産生は、脳ペリサイトのP糖タンパク質(P-gp)発現の増加と連動していた。潰瘍性大腸炎モデルマウスの脳血管におけるP-gp発現増加と考え併せると、腸炎症に起因した脳ペリサイトの異常化としてP-gp発現量増加に伴う炎症性メディエーター産生が挙げられる。これは血液脳関門機能を低下させ、血液中αシヌクレインの脳移行を増加させる可能性がある。
|
研究成果の学術的意義や社会的意義 |
脳毛細血管壁に局在する脳ペリサイトは、血液と脳の間の物質移行を制御する血液脳関門の構成細胞として重要である。この脳ペリサイトの異常化・機能低下が中枢神経疾患の発症や進展に寄与することが示唆されてきたが、その異常化を特徴付ける分子は同定されていない。本研究において、脳ペリサイト異常化の一側面である炎症性メディエーター産生について、これを特徴付ける分子としてP-gpを挙げることができた。脳ペリサイト異常化による脳内での炎症性メディエーター増加は脳内炎症拡大および血液脳関門機能低下に繋がる。P-gp阻害による脳ペリサイト異常化の是正が、パーキンソン病でも認められる脳内炎症を抑制する鍵となると考える。
|