研究課題
基盤研究(C)
均質に見える細胞集団においても遺伝子発現の不均質性が存在する。遺伝子発現の不均質性の主因はエピゲノムの不均質性であることは疑いもなく、またこの不均質性を引き起こす要因の一つとして組織環境が挙げられる。しかし転写因子のDNA結合やヒストン修飾などを単一細胞かつ遺伝子座レベルで解析することは容易ではなく、また組織内のエピゲノムの不均質性を解析する技術も開発されていない。本研究では「組織内で同種の細胞間にエピゲノムの不均質性があるか、その不均質性がどのように遺伝子発現の不均質性に影響を及ぼすか」の問いに答えるために、組織における単一細胞かつ遺伝子座レベルでのクロマチン可視化法の技術基盤の確立を行う。
本研究においては、マウス生体において転写制御領域を解析するために必須である、極微量サンプルからの遺伝子発現、ヒストン修飾、高解像度でのクロマチン構造を解析する技術を確立した。遺伝子発現では、mRNAや全RNAを対象としたRNA-seqを実施した。ヒストン修飾解析では、私たちが確立した微量ChIP-seq法よりも少数の細胞で解析できる手法を導入した。またHi-C法にキャプチャープローブを組合せて、高解像度でのクロマチン構造解析が可能となった。本来の目的であった単一細胞エピゲノム解析手法の確立は達成できなかったが、これらの解析技術によってマウス生体由来での転写制御領域の高精度解析が可能となった。
個体発生や臓器の形成はもちろんのこと、様々な疾患における病態理解においては、遺伝子発現がどのように調節されているか、またどのような異常が生じているかを研究することが非常に重要です。しかし、生体由来の微量サンプルでは遺伝子発現、ヒストン修飾などのエピゲエノム情報、高解像度のクロマチン高次構造の解析は困難でした。本研究では、生体由来の微量サンプルを用いて、高精細にこれらの解析を行う技術を確立しました。
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すべて 雑誌論文 (4件) (うち国際共著 2件、 査読あり 3件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (3件) (うち国際学会 1件、 招待講演 3件) 備考 (2件)
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