研究課題
基盤研究(C)
リーリンは脳の発生・成熟・維持に関与するタンパク質である。ゲノム編集技術によって当該リーリン欠失をモデルとした患者型リーリン遺伝子欠失マウスを新規で作製した。本研究課題では、リーリン欠失マウスの行動薬理学的解析、組織病理学的解析、培養神経細胞を用いたin vitro遊走解析、リーリンシグナル伝達の分子生物学的解析、遺伝子発現解析を実施する。リーリン欠失患者由来iPS細胞から分化させて認められたような細胞遊走およびリーリンシグナル異常が生じているかどうかを比較し、リーリン欠失から統合失調症発症に到る機構解明を目指す。
CRISPR/Cas9法を用いて新規RELNエクソン欠失(Reln-del)マウス系統を樹立した。Reelinホモ欠失型表現型は、小脳萎縮、大脳層の形成不全、大脳reelinのタンパク質レベルの異常など既存のreelerマウスと同様であった。ヘテロ接合型Reln-delマウスにおけるリーリンの発現量は、野生型マウスの約半分であった。逆に、小脳萎縮や形成不全のないヘテロ接合型Reln-delマウスの行動解析では、社会的相互作用試験における社会的新奇性の異常が認められた。ホモ接合型Reln-delマウスの小脳培養では、in vitroでの再集合形成と神経細胞移動が著しく変化した。
多くの研究により報告されているReln変異マウスの行動変化には、統合失調症に似た表現型が見られた。加えてReln欠失統合失調症患者を同定し、iPS細胞の樹立から神経細胞移動の方向性異常を見出すことができた。Reln欠失マウスとReln欠失iPS細胞の相互解析からリーリン欠失を介した統合失調症の病態メカニズムを明らかにし、創薬につなげる礎となる可能性がある。
すべて 2023 2022 2021 2020
すべて 雑誌論文 (7件) (うち国際共著 4件、 査読あり 7件、 オープンアクセス 7件) 学会発表 (1件) (うち国際学会 1件)
BMC Psychiatry
巻: 23 号: 1 ページ: 159-159
10.1186/s12888-023-04664-5
Pharmacological Research
巻: 187 ページ: 106589-106589
10.1016/j.phrs.2022.106589
Biological Psychiatry
巻: - 号: 5 ページ: 362-374
10.1016/j.biopsych.2022.04.003
Translational Psychiatry
巻: 12 号: 1 ページ: 84-84
10.1038/s41398-022-01851-y
Stem Cell Res
巻: 64 ページ: 102884-102884
10.1016/j.scr.2022.102884
Neurochemistry International
巻: 144 ページ: 104954-104954
10.1016/j.neuint.2020.104954
Psychiatry and clinical neurosciences
巻: 1 号: 5 ページ: 1-10
10.1111/pcn.12993