研究課題/領域番号 |
19K07405
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分49010:病態医化学関連
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研究機関 | 帝京平成大学 |
研究代表者 |
後藤 芳邦 帝京平成大学, 薬学部, 准教授 (90455345)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2020年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2019年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | アミノペプチダーゼ / 不安障害 / セロトニン / セロトニン神経 / TPH2 / モノアミン / トリプトファン水酸化酵素 |
研究開始時の研究の概要 |
最近、小胞体アミノペプチダーゼ(ERAP1)遺伝子欠損(KO)マウスでは野生型マウスに比べて不安レベルが高いことを見出した。加えて、本KOマウスの脳内では、セロトニン合成神経の増加と同神経軸索の形成不全が認められた。そこで、ERAP1機能不全に伴う不安障害の発症機構を解明する。そのためにERAP1遺伝子欠損がセロトニン合成神経の増殖や分化、可塑性、シナプス剪定性に影響を及ぼす3つの可能性(①ERAP1のMHCクラスI抗原ペプチド生成を介した神経細胞への寄与、②分泌ERAP1によるミクログリアの活性化、③分泌ERAP1による神経ペプチドの分解・生成)について解析を実施する。
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研究成果の概要 |
小胞体アミノペプチダーゼ1(ERAP1)の酵素活性の低下は不安行動を促進する。本研究ではERAP1遺伝子欠損に伴う不安行動の促進機構を明らかにすることを目的とした。 本研究により、脳(特に縫線核)におけるERAP1酵素活性の消失が、セロトニン合成酵素(TPH2)の転写抑制因子(REST)の発現を抑制することでセロトニンの合成を過剰に促進することを明らかにした。そして、ERAP1遺伝子欠損により惹起されるストレス行動は、この過剰なセロトニンが原因であることを示した。したがって、ERAP1は脳内セロトニンの調節因子の一つであり、ERAP1の機能不全が不安障害を惹起しえる。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
これまでにERAP1の高次機能への関与を示唆する知見はなく、現段階で本酵素が精神障害の原因遺伝子となるとの報告はない。ERAP1遺伝子上の一塩基多型の中に酵素活性を70%程度低下させるものが存在することが分かっている。この遺伝子変異のマイナーアリル頻度は、人種問わず>0.4であることから、ERAP1が不安障害の原因遺伝子である可能性が高い。本成果を契機として不安障害の発症機会が理解できれば、明確な線引きの難しい不安障害と類似精神障害間の誤診を防ぐ一助となり得る。
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