研究課題/領域番号 |
19K07406
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分49010:病態医化学関連
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研究機関 | 帝京大学 |
研究代表者 |
松村 喜一郎 帝京大学, 医学部, 教授 (50260922)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
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配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2020年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2019年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | 細管集合体ミオパチー / STIM1 / カルシウムホメオスタシス / 筋ジストロフィー / STIM1-ORAI1シグナリング |
研究開始時の研究の概要 |
筋ジストロフィーは小児から成人まで幅広い年齢層に発症する遺伝性筋疾患の総称である。近年様々なタイプの筋ジストロフィーにおいて原因遺伝子が同定されてきている。しかしその結果筋細胞が変性・壊死に陥る詳細なメカニズムはいまだ明らかにされていない。一方で以前より筋細胞内へのカルシウムの過剰流入が筋ジストロフィーの病態と深く関わっているとの報告が数多くなされている。本研究は最近注目を集めているSTIM1-ORAI1シグナリングに着目して、カルシウムホメオスタシスの制御に基づいた新たな治療法を開発することを目的としている。
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研究成果の概要 |
筆者らが細管集合体ミオパチー患者において見いだしたSTIM1遺伝子におけるユニークな新規変異の分子病態を解明するため、患者リンパ球から疾患特異的iPS細胞を作製してその解析を行った。このiPS細胞に対して骨格筋への分化誘導を行いSTIM1の局在を観察したところ、健常人由来のiPS細胞とは異なり核周囲にドット状の凝集体を多数形成した。また細胞内のカルシウム濃度を測定したところ、健常人由来のiPS細胞でみられる細胞内カルシウム応答が見られずカルシウム濃度は低値のままであった。これらの結果から筆者らが見いだしたSTIM1変異は筋細胞内カルシウムの枯渇が原因でミオパチーを発症するものと考えられた。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
これまでに報告されていたSTIM1の変異による細管集合体ミオパチーはSTIM1の恒常的な活性化の結果生じる細胞内へのカルシウムの過剰流入が原因であるとされていた。しかし筆者らが見いだした変異は逆に細胞内カルシウムが枯渇することで発症するものと考えられた。同じSTIM1の変異でもカルシウムの過剰流入と枯渇という対極に位置する2つの事象が生じ、その両者が同じ疾患を引き起こすことが示された。このようにカルシウム濃度は筋細胞内において厳密に調節されなければならず、本研究によりSTIM1-ORAI1を介したカルシウムホメオスタシスの重要性に関する理解が深まった。
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