研究課題/領域番号 |
19K07408
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分49010:病態医化学関連
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研究機関 | 千葉県がんセンター(研究所) |
研究代表者 |
越川 信子 千葉県がんセンター(研究所), がん先進治療開発研究室, 主任上席研究員 (90260249)
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研究分担者 |
竹永 啓三 千葉県がんセンター(研究所), がん先進治療開発研究室, 特任研究員 (80260256)
永瀬 浩喜 千葉県がんセンター(研究所), がん遺伝創薬研究室, 研究所長 (90322073)
渡部 隆義 千葉県がんセンター(研究所), がん研究開発グループ, 研究員 (60526060)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2020年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2019年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | mtDNA / PIP-TPP / 肺がん / 子宮がん / 病原性mtDNA変異 / 子宮癌 / SNP / PI polyamide / Triphenylphosphonium / mutated mtDNA / cancer / malignancy / PIポリアミド / TPP / がん増殖抑制 / 変異mtDNA |
研究開始時の研究の概要 |
癌では、その特異性を標的として治療を行うことが、副作用の軽減に重要である。ヒト肺癌、大腸癌の原発巣と転移巣におけるmtDNAにコードされる呼吸鎖複合体関連遺伝子で、原発巣よりも転移巣でmtDNA変異率が高いことが認められた。この結果は、癌の悪性度とmtDNAの変異に相関関係があることを示唆している。そこで、癌で認められるmtDNA変異を標的として、遺伝子発現抑制剤を作成すれば、癌の悪性化を抑制し、癌の縮小が望めると想定した。我々はDNAに結合するPIPを研究している。このPIPをmtDNA変異配列に対して合成し、その複製抑制、遺伝子発現の抑制により癌の増殖抑制に繋がると考え、研究を進めている。
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研究成果の概要 |
我々は、癌細胞に認められる変異ミトコンドリアDNA(mtDNA)を標的としたPIP-TPPを用いて、がん細胞の選択的増殖抑制を目指している。今回標的としたのは肺がんと子宮がんである。ヒト肺癌由来細胞A549では短鎖型PIP-TPPで、A549細胞に老化を誘導した。さらに抗アポトーシス因子の同時投与でがん細胞の増殖を抑制した。また、子宮頸がん由来培養細胞HeLa他、いくつかの癌で認められる、ホモプラスミック変異mtDNAに対して、PIP-TPPを合成した。HeLa細胞、患者由来オルガノイドでは、in vitro, in vivoでPIP-TPP投与によってがん細胞が特異的に増殖抑制が認められた。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
癌治療法は、日々進歩しているが、多くの場合完治が困難である。また、抗がん剤治療などでは副作用の問題が無くならない。さらに、転移が起こるか否かの問題は、払拭されない。我々は、mtDNAの変異部位を標的としてPIP-TPPを合成し、特異的変異mtDNAを持つ細胞の増殖を抑制する事を肺がん細胞・子宮がん細胞において確認した。さらに、正常細胞には影響がないことを見出した。今までの研究から、転移巣において、変異mtDNAの存在率が上昇していることから、PIP-TPPが転移巣の増殖抑制にも効果があると推測される。このように、PIP-TPPは現在の癌治療の持つ問題点を解消する一助となると推察する。
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