研究課題
基盤研究(C)
胃癌は加齢とともに発生率が急増する代表的ながんであり、病理学的に高齢者胃癌は若年者とは異なる病態を示す。本研究では高齢者で相対的に急増するマイクロサテライト不安定性経路による胃癌に焦点をあて、高齢者胃癌の発癌機序、臨床病理像、遺伝子異常を明らかにするとともに、最近注目されている免疫チェックポイント阻害剤の高齢者胃癌への適応について検討する。また、高齢者では悪性腫瘍による凝固系異常が発症しやすいので、その合併症対策も含め新しい治療戦略に寄与することを目的とする。
胃乳頭腺癌の分子病理学的特徴ならびに免疫チェックポイント阻害薬の適応を明らかにする目的で,40例(男性15例,女性25例,平均年齢78.7歳)の乳頭腺癌を解析した.分子病理学的に分類では,マイクロサテライト不安定性(MSI)は17例(43%)にみられ,他はEpstein-Barrウイルス関連(EBV)2例(5%),染色体不安定性7例(CIN)(18%),ゲノム安定性(GS)17例(43%)であった.MSIに分類される乳頭腺癌では,女性,下部発生,低分化腺癌成分の混在,早期癌比率と関連がみられた.粘液形質はnull typeの比率が高かった.MSIを示す乳頭腺癌では,tumor-infiltrating lymphocyte(7.8±3.1個/HPF),Cohn’s-like lymphoid reaction(57%)が有意にみられた.1高倍視野あたりの上皮内リンパ球の個数が4個をカットオフ値として,感度92.9%,特異度84.6%でMSIの予測が可能であった.PD-L1発現は腫瘍細胞での発現(Tumor proportion score≧1%)は7例(17.5%)にみられ,間質の免疫細胞を含む細胞でのPD-L1の発現(Combined proportion score≧10%)の陽性率は25例(62.5%)であった.TPS, CPSともにEBV、MSIに陽性率が高かった.このことは,乳頭腺癌が他の組織型より免疫チェックポイント阻害剤の適応になりうることを示唆している.
3: やや遅れている
高齢者の乳頭癌に注目してその臨床病理学的特徴を明らかにするとともに,分子病理学的な分類(マイクロサテライト不安定性、Epstein-Barrウイルス関連、染色体不安定性、ゲノム安定性)との関連について検討した.この研究成果を論文としてまとめ,投稿中である.査読意見に従い,一部修正し再投稿したところである.
高齢者胃癌のうち,どのような特徴を有する腫瘍が粘膜下層への浸潤を示すかなどを明らかにする予定である.
すべて 2022 2021 2020 2019 その他
すべて 国際共同研究 (2件) 雑誌論文 (13件) (うち国際共著 4件、 査読あり 13件、 オープンアクセス 5件) 学会発表 (7件) (うち国際学会 5件、 招待講演 4件)
胃と腸
巻: 57 ページ: 724-724
巻: 57 ページ: 725-725
巻: 56 号: 10 ページ: 1356-1366
10.11477/mf.1403202562
Anticancer Res
巻: 41 号: 2 ページ: 975-982
10.21873/anticanres.14851
Molecular and Clinical Oncology
巻: 14 号: 3 ページ: 58-58
10.3892/mco.2021.2220
Japanese Journal of Clinical Oncology
巻: - 号: 6 ページ: 886-894
10.1093/jjco/hyab026
Gastric Cancer
巻: 23 号: 5 ページ: 765-779
10.1007/s10120-020-01086-0
巻: 55 ページ: 1449-1460
Virchows Archiv
巻: 477 号: 5 ページ: 761-762
10.1007/s00428-020-02862-0
Pathology International
巻: 70 号: 2 ページ: 92-100
10.1111/pin.12882
Journal of Cancer
巻: 10 号: 21 ページ: 5130-5138
10.7150/jca.34741
巻: 22 号: 6 ページ: 1193-1203
10.1007/s10120-019-00972-6
40022051098
巻: 印刷中 号: 4 ページ: 651-652
10.1007/s10120-019-00960-w