研究課題/領域番号 |
19K07471
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分49020:人体病理学関連
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研究機関 | 独立行政法人国立病院機構(長崎医療センター臨床研究センター) |
研究代表者 |
伊東 正博 独立行政法人国立病院機構(長崎医療センター臨床研究センター), 臨床検査科, 病理医 (30184691)
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研究分担者 |
サエンコ ウラジミール 長崎大学, 原爆後障害医療研究所, 准教授 (30343346)
中島 正洋 長崎大学, 原爆後障害医療研究所, 教授 (50284683)
三浦 史郎 独立行政法人国立病院機構(長崎医療センター臨床研究センター), 病理診断科, がん中央診療部長・がんゲノム診療部長 (80513316)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2021年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2020年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2019年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | 小児甲状腺癌 / 甲状腺癌 / 放射線被曝 / チェルノブイリ / 福島原発事故 / BRAF / 小児 / 遺伝子変異 / 分子疫学 |
研究開始時の研究の概要 |
福島第一原発事故後,若年者の甲状腺スクリーニングは世界で初め実施され予想を越える甲状腺癌症例が発見された。その甲状腺癌の増加が放射線の影響かスクリーニング効果か結論は出ていない。チェルノブイリ事故後に多発した小児甲状腺がんでゲノム解析がなされてきたが、放射線特異的な遺伝子異常は未だ見いだされていない。本研究ではチェルノブイリ症例に加えて、福島第一原発事故後に周辺地域の検診で発見され切除された症例を加え、二つの異なる地域と異なる被曝線量を背景とした若年被曝による放射線誘発甲状腺がんの高リスク分子機構を、ゲノムDNA変異解析に加えエピジェネティックな変異解析の両面から解明することを目的としている。
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研究成果の概要 |
福島第一原発事故後の若年発症甲状腺癌の形態学的解析では,乳頭状構造を主とする古典的乳頭癌が多くBRAF点突然変異を主としていた(Cancer Sci 2019)。さらにチェルノブイリ事故関連若年発症甲状腺癌, ウクライナ自然発症性甲状腺癌, 本邦の自然発症性甲状腺癌, 福島県の若年発症症例, 合計748症例(ウクライナ410, 日本338)の病理学的特徴を年齢階層毎の解析を行った。チェルノブイリ小児症例では充実性成分が多く, 侵襲性が高度であった。本邦症例群間では形態学的には大きな差は認めなかったが, 福島症例では男女比が1:1に近く, 平均腫瘍径が小さかった (Thyroid 2021)。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
福島第一原発事故後の若年発症甲状腺癌とチェルノブイリ原発事故後に激増した小児甲状腺癌の病理形態学的な比較,本邦の自然発症性若年者甲状腺癌とチェルノブイリ周辺地域の自然発症性若年者甲状腺癌の比較がなされたことはなく,本研究課題は独自性の高いと云える。本研究から期待される成果は以下の4点にある。1. 地域や環境の差が病理形態学的所見や遺伝子変異に与える影響の解明。2.低線量被曝関連の若年者甲状腺発癌機構の解明。福島第一原発事故後に発見された若年者甲状腺癌と低線量被曝の因果関係の解明。3. 若年者の自然発症性甲状腺がんの発症機序の解明。4.原子力発電所事故時の防護を考える上での基礎的なデータとなる。
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